劇場公開日 1995年5月13日

「夢見るような恐ろしさ」ひとりで生きる manamboさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5夢見るような恐ろしさ

2015年2月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

難しい

『動くな、死ね、甦れ!』の続編。第二次世界大戦直後のロシアの炭鉱町。15歳になった少年ワレルカと、前作で死んだガリーヤの妹ワーリャの物語だが、監督自身の記憶と心象風景を描く幻想的な映像と音楽で映画は綴られてゆく。霧と凍った大地の風景が、かさかさの感情と生存本能が剥き出しになった生活が、繰り返し流れる近所のオヤジの下品で無遠慮でやかましい歌の調べと日本人捕虜の歌う子守唄が、そして自分が生きる場所を求めて諦めかけ苦悩する若い精神が、ひとつひとつ美しく寒く痛々しい。ワレルカは全てを置き去り、ワーリャを失い、一人になる。無意識をそのまま映像化したような、言語から最も遠い映画作品。

manambo