春のソナタのレビュー・感想・評価
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春のようにやわらかく
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大したことは何も起こらない。それなのに魅了される。この監督さんならではと思う。(ピンポイント的には、父親が味があって面白かった)
感情や想像力が豊かで無邪気な若いナターシャ。一方ジャンヌは、自己の世界を確立し、それ故他者の世界にも足を踏み入れない大人の女性。この二人が偶然交わった。
ナターシャの働きかけがなければ、彼女らは深く知り合うことはなかった。ナターシャは寂しかったのだろうし、ジャンヌがエーヴより素敵な人に見えたのだと思う。ジャンヌの方にしても、快適な居場所がたまたまなかったという事情があった。
異質なものの交わりは、そんな偶然が重ならなければなかなか成立しないのかもしれない。わたしたちは気苦労を避けてどうしても楽な方に行きがちだから。
異質者同士だと摩擦が生じるということもよくあることで、猜疑心から互いの距離感が増しつつあった。が、首飾りの謎は解け、それぞれのわだかまりがさっと消えた。
ジャンヌは、そこで自分の心の狭さに気付いたようだ。頑なになっていた心が、優しく柔らかくなっていく。春の雪解けのように。
二人の笑顔の何と明るく軽やかなこと。
心のやわらかさ、というものについて、自分自身の反省もふくめて考えさせられた。
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