薔薇のスタビスキーのレビュー・感想・評価
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シャロンの薔薇
ウクライナ生まれでユダヤ人だったトロツキーが出てくるんですよ。なぜか唐突に。つまりは、資本主義に取り入って財を成したスタビスキーとの対比が、裏テーマなんだろうなぁ、と思う訳で。スタビスキーはシャモニーの山荘で死をとげる。トロツキーは逃走先のメキシコシティで、スターリンが派遣した刺客によって暗殺される。
ブルー・チームもレッド・チームも、やるこたぁ一緒って事で。
妻に送り続けた薔薇は、中世ヨーロッパで、その香りと美しさが人々を惑わすとして、キリスト教会がタブーとされた花。一方、ユダヤ教の解釈は異なります。旧約聖書に登場する、ソロモンの歌の「シャロンの薔薇」は、キリスト教では別の花と解釈されますが、ユダヤ教では「薔薇」であり、美しく若い女性と彼女への愛情を表すとの解釈。
ユダヤ人であるスタビスキーですから、妻への贈り物となる花は、薔薇以外には考えられなかったんでしょうね。
映画としては、時系列の分かり難さ、ってのが一番の難点でした。特に、トロツキーの登場場面は、完全に時系列を見失ってしまいましたw
幽霊
スタビスキー事件が起きた時の内閣は
左翼同盟内閣なのだが
1933年12月末にバイヨンヌ市立銀行が倒産し
スタビスキーが疑惑を招く自殺をしたあと
次の内閣も世論を落ち着かせられず
1934年2月6日の暴動で倒れ
このあと右翼政権が続く
ドレフュス事件以来
ユダヤ人問題もくすぶっていたようなのだが
ウクライナ出身のユダヤ人である彼の詐欺事件を機に
フランスは分裂状態が続く
彼の豪勢な生活ぶりと共に
亡命ロシア人(ユダヤ人)トロツキーや
ドイツからのユダヤ難民女性の人生が交錯する
美しきアルレットはシャネルのモデルで
映画ではサンローランが考えるシャネル風衣装を披露
シャネルは模造宝石のアクセサリーも流行らせたが
質屋でもあった彼はその目利きの信用を悪用して
宝石詐欺を思いついたのだろうか
ビシー政権を非難してしまうが
それに繋がってしまう地下水脈のようなものも感じられた
スタビスキーはアルレットにしがみついていたが
本当に愛していたかはわからない
劇場も所有したが詐欺師の彼は総てが演技なのだろうか
彼の人生みたいなちょっと謎めいた映画でしたが
ベルモンドには皆を引きずり込んでしまう
詐欺師の魅力のようなものを感じました
彼の共犯だった人々はその存在を記憶からも抹殺しようとする
語り部となる男爵(ボワイエ)とあの政商にもモデルはいるのかな
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