「会社の悪質さが伝わらない」ノーマ・レイ 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
会社の悪質さが伝わらない
現代の人々が当たり前に享受している世の中の権利って、一部の志高い人が勇気を出してリーダーシップを執って動いた結果得られたものだ。そういう活動で結果を出せるのは偉いと思う。だから今作が労働組合結成をテーマにしている点は良いテーマだ。
でもストーリーは心を動かされるものではなかった。まず、会社の悪質さがいまいち伝わってこない。工員が生理痛でも座らせてもらえないって訴えていたし、そこから工員をこき使っているのは伝わってくる。でも、逆に言うと会社の悪質さが伝わってくるエピソードはせいぜいそのくらい。そのためなぜ労組の結成に躍起になっているのか明確な理由が伝わってこない。だから活動の中心になっているノーマレイが、ただの権利意識だけは強い面倒臭い人に見えて、主人公としての魅力に乏しい。
あと、最初活動に消極的だった多数の工員が、なぜ心変わりして労組の結成に賛成するのかもよく分からない。「UNION(組合)」の文字を札に書いて見せられたくらいでは理由にならない。
同じマーティンリット監督の『アイリスへの手紙』もいまいちだったけど、今作もいまいちだな。
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