「控えめに言って超好き。」ノートルダムの鐘 まゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
控えめに言って超好き。
とにかくドラマチック。特にフロローが素晴らしかった、フロローが!この時代にずーっと教会で生きてきた聖職者が女性(しかも当時乞食と思われているような最下層のジプシー)に欲情して狂って虐殺を開始、街を燃やす。ある意味主役は彼ですね。なんという人間臭さ。なんという哀れさ、罪深さ。
役柄がこんなんだからキモっ!感は仕方ないけど、低音の美声がめちゃくちゃ良かったです。音楽も荘厳で圧巻。
カジモドの声優がトム・ハルスと知ってびっくり。アマデウス大好きなんよね…エスメラルダ役はなんとデミ・ムーア。(歌はハイジ・モーレンハウアー)フロロー役はトニー・ジェイ。
原作でエスメラルダは死んじゃうけど、この作品ではカジモドが本当に彼女が死んでしまったと思い込んで涙を流す場面があります。そこをわりと尺使って丁寧に描いたのが良かったです。エンディングで自分はフラれたけど幸せだ、という感情に説得力があります。
あと、全て終わって、街の人々に受け入れられる場面はやはりグッと来ます。差別に耐え、辛い境遇で孤独だったカジモドが社会で生きていける。そこはやっぱり感動的。一瞬眩しそうにしてノートルダムから出てくるカットが好きです。
悲壮でドロドロで救いのない原作を、ディズニーが料理するとこうなるのですね。必要なコマや演出を洩れなく確実に最強のタイミングではめ込んで、ちゃんとディズニーに仕上がってます。お見事。ちょっと大人な、異色の名作でした。
子どもにウケはあまり良くないかもしれませんが、私は保育園時代、最も好きな絵本は「あんちんきよひめ」だったので、意外と好きって子もいるかも??こういうタイプの物語って、なんか分からんけど胸かきむしられる。大事なことがいっぱい詰まった作品でした。