「負の連鎖」ニル・バイ・マウス 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
負の連鎖
ゲイリー・オールドマンの初監督作品、これ一本だけじゃ勿体無いと思わせるリュック・ベッソンもお手上げな映画監督としての手腕を発揮、ダニー・ボイルの『トレインスポッティング』やガイ・リッチーの『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』ではしゃいでるのが馬鹿らしくなる、この二人よりも巧いゲイリー・オールドマンがショーン・ペンの一作目『インディアン・ランナー』に引けを取らない傑作をブチ込んで来た、いや、怪作という表現が合っているのかも!?
ラストは地味ながらの衝撃的な展開で呆気に取られてしまう、ハッピーエンドのようで確実にバッドエンドな感覚に驚きながらも呆れ返る家族模様、意識することもなく改善の余地すらない、この繰り返しを代々受け継ぎながら家族が形成されている悪循環。
レイ・ウィンストンは『SCUM スカム』から一切の更生をする事も無く大人になったような徹底的にクソ野郎で胸糞が悪くなる役柄を今だったらトム・ハーディが演じても様になるようで、唐突に『地獄の黙示録』が映し出されデニス・ホッパーの長台詞を真似る全身刺青ヤローは"ロック、ストック"でも印象的なキャラクターを演じていた。
賢く学習する術を持ち合わせない女三代が男で苦労しながら身を滅ぼすギリギリを、何だかんだで楽しく生活しながらの痛々しさに直視出来ない哀れな現実が見え隠れ。
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