トムとジェリーの大冒険のレビュー・感想・評価
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トムとジェリーが、喋った!
実写×2Dの新作『トムとジェリー』を見たら、何だか昔のアニメ版も見たくなってきたので、ついついレンタルして来てしまった。
1992年の初の長篇アニメ映画。80年の歴史の中で、長篇映画はこの1992年作と今回の新作のみという事に驚き。(他の長篇作はOVA)
ある意味この2本のトムジェリ映画、貴重だったり…??
分譲マンション建設で住んでいた家の取り壊しが決まり、ご主人様と引っ越しする事になったトム。出発直前ジェリーとケンカしていたらトラックから飛び出してしまい、置いてきぼりを食らってしまう…。
トムが飼い猫? ご主人がいる?
そういや作品によってそんな設定でもあったね。
にしても、置いてきぼり食らうなんて、何やってんの…。
でも、開幕早々からドタバタ、ケンカ、多分スパイクも出てきて、トムジェリ・ワールド!
…と思ったら、びっくりどっきりク○ト○ス!な展開に!
トムとジェリーが、喋った!
喋らないのがトムとジェリーなのに…。
まるでチャップリンやMr.ビーンが喋ったような驚き。
ふたりの“話”によると、元々普通に話せるけど、敢えて話せないフリをしていたという。何故なら、ネコとネズミ、話したって分かり合えないから。
何だか皮肉的。
また、喋るだけじゃない。歌ったり、踊ったりもする!
この喋るトムジェリ設定は賛否両論あるらしい。確かに違和感も…。
でも、音楽に御大ヘンリー・マンシーニを招いたミュージカル・アニメにもなってるし、いつものドタバタに加え口ケンカ。
新鮮で一味違う。
さて、お話の続き。
トラブルと口ケンカしながら町をさ迷っていたら、一人の家出少女ロビンと出会う。
彼女は、ロビン無しじゃ生きていけない叔母フィグから逃げてきたのだ。叔母さんは過保護…いやいや、ロビンの父親がロビンに遺した莫大な遺産を狙っていた。
ロビンの父親はチベットの雪山で雪崩に遭い死んだとされていたが、いきていた事が分かる。
それを知ったロビンは父親を捜す為にチベットへ。トムとジェリーも手伝う。
フィグが執念深く付け狙う…。
原題はただの『THE MOVIE』。
いつもは家の中メインだけど、遥々チベットまで! 邦題『大冒険』の方が確かにしっくり来る。
楽しいミュージカル・シーン。
ドタバタはトムジェリだけじゃなく金を狙う欲深い人間キャラたちも。ハラハラドキドキと笑いと織り交ぜて。
父娘愛。
ロビンとの友情。
それから、勿論。
新作よりはっきりとしたファミリー向け。
ツッコミ所や強引な所はあっても、今回ばっかりはアニメだから。
ただ、一点。喋る本作と喋らない新作。喋らないで面白さを伝えた新作の方が一枚上手だったかと。
喋る事によって、ふたりの性格や関係性が色濃く出たのが興味深い。
ツンツンしているトム。
かまってちゃんのジェリー。
ラスト、火事になった山小屋の中にジェリーが…。泣くトム。
「君なしじゃダメなんだ。一番の友達なんだ」
生きていた事が分かると、
「このチビスケ!」
これこれ! この関係性!
やっぱり喋るトムとジェリーに賛否はあるかもしれない。
でも、ふたりの性格や関係性、いざって時は力強く強力し合うお約束は損なわれていない。
喋らなくても、喋って口ケンカしても、仲良し。
トムとジェリー!
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