遠い夜明けのレビュー・感想・評価
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重い内容ですが見応えがあって良かったです。是非観て欲しいです。
南アフリカ共和国のアパルトヘイト政策に立ち向かった黒人運動家のスティーブ・ビコ。ビコを取材する内に魅了され共鳴していった新聞社の白人編集者ドナルド・ウッズの自由への闘いの壮絶な物語。 体制側の警察や政府に目をつけられた2人は弾圧を受けることになるのだがその凄まじい内容に驚きました。 映画の原作はビコの死後、アパルトヘイトの実態を国外に知らせなくてはとの思いで命がけで国外に脱出したウッズにより出版された本である。 原作はヨーロッパにアパルトヘイトの実態を知らしめヨーロッパにおける反対運動のきっかけになった。 出版から9年後に映画が制作されるがまだアパルトヘイト政策は続いていた。ウッズ夫妻は映画の監修にも参加した。 アパルトヘイトが撤廃されるのにはさらに7年の年月を要した。その間にも多くの人が犠牲となった。 重いですがとても見応えのある内容でした。非常に緊迫感があり恐かったです。是非エンドロールの最後まで観て下さい。
圧巻の154分
アパルトヘイト政策下の、黒人活動家と南アフリカの新聞記者の話。
正直な話、よく似た話は結構作品を観ているのですが。
いやいやどうして、これがどうして驚きの連続。
活動家は対話を重視し、民衆を煽るタイプじゃない。
「私達は平等に扱われたいだけ、同じ弱い人間なのです」。
そこに記者が共感し、影響を受けていく。
後半は、事実を公表するため。記者が国を脱出しようとする。
ええ〜、5人の子供と一緒にって。そっちか!。
まさかのドキドキの展開。
「ビコ(活動家)の友人は、我々の友人」。
友達の友達は、皆友達。心に訴えるものがありました。
これが全部実話なんて、全く知らなかった・・・。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「いつかは正義が勝つと、言ってくれ」
1970年代の南アフリカを見れて良かった。リアリティ重視の映画で内...
ハンガースト
合法な不正義を潰すのは市民運動しかない。日本はどうする?
これは、アパルトヘイト時代の南アフリカが舞台である映画です。1987 年に制作されました。南アフリカは、今でこそ BRICS の一角を占めますが、制作当時は、国際的に経済制裁を受けていて、オリンピックにも出られませんでした。その理由は、アパルトヘイトです。
アパルトヘイトとは、南アフリカの人種隔離政策のことです。政府は、白人だけから構成され、大半の黒人を狭い居住区に押し込めていました。日本では、中学校の社会の教科書にも、アパルトヘイトが紹介されていたため、当時は広く知られていました。この映画が公開された数年後に徐々に差別制度が緩和されていきました。そして、1994 年、全人種による選挙が行われ、弁護士、反アパルトヘイトの闘士で長く獄中にあった、黒人のネルソン・マンデラが大統領に就きました。現在(2023 年)、40 代以上の人は覚えている人も多いでしょう。
さて、映画に話を戻しますと、これは実話に基づく物語だそうです。登場人物はほぼ実名とのこと。
1977 年、スティーブ・ビコは、南ア政府の保安規則により、移動や面会の自由が制限されていました。彼は、黒人解放運動の指導者で、非常に知的です。ドナルド・ウッズはリベラル紙の編集長で、初めはビコを批判していましたが、次第に彼を支持するようになります。
この作品は、事実上、二部構成となっています。第一部に相当する場面では、アパルトヘイトの圧政、それにビコが反対して運動を起こし、政府はそれを弾圧し、ウッズも新聞を使って政府を批判します。第二部に相当する部分は、ここで詳細は伏せますが、打って変わってハラハラの逃避行です。それが避けられないことは第一部があるからこそ伝わるものです。是非、作品を観てください。
この作品には、正義には悖[もと]るけれど、合法な警察や裁判所が何度となく現れます。冒頭で、白人警官が何台ものトラックで黒人居住区のバラックを襲撃し、女子供の区別なく彼らに暴行し逮捕監禁します。こういうことが頻繁に起きる事が暗示されます。政府からは、この悪行が「公衆衛生上の保護」として合法だと発表されます。暴力は隠蔽され、白人の国民は差別に負い目を感じなくて済みます。こうして、不正義が適法として処理されてしまいます。
ところで、これは、遠いアフリカの昔話に過ぎないのでしょうか。僕は、そうではないと思います。例えば、公金を権力者やその縁故に流用したら、それが法的には問題なくても、不正義でしょう。罪を犯したのに、それが権力者に近いと言うだけで罰せられなければ、その手続きがいかに適法でも不道徳でしょう。こんなことが続くと、社会は壊れてしまわないでしょうか。と言うか、壊れ始めていますよね。
南アフリカでは抵抗運動が差別を終わらせました。日本はどうでしょうか。
多大な犠牲の元に独立を勝ち取ったとの想いは解るが…
随分と久しぶりになったが、
ビコが半分も経過しない中で
亡くなってしまうことなども
すっかり忘れていた中での再鑑賞となった。
また、少し前に「ソフィーの選択」を
観たばかりのだったので、
そこでのケビン・クラインとの比較も
楽しみだったが、
まるで印象の異なる演技には驚かされた。
また、アッテンボロー監督の
「素晴らしき戦争」「遠すぎた橋」「ガンジー」等
の大作感溢れる作風はここでも生きていて、
特に前半の緊迫感溢れる描写に、
作品の世界にゆったり浸ることが出来た。
ただ、終盤の逃走劇は、
地理的な浅識もあってか、
臨場感不足になってしまい、
結果、少し冗長に感じてしまったのは、
私にはマイナスの構成だった。
そして、エンディングシーン、
独立のための、
数多くの黒人指導者や住民の犠牲の元に
植民地支配的国家を勝ち得たとの描写である
ことは理解するが、
一方で、ビコが夢見て、マンデラが実現した
人種融合の国家を
勝ち得たことでもあるのだから、
その人種融合へ繋がるエピローグで
締めた方が、
よりテーマに沿ったエンディングになった
ような気はした。
勇気ある行動と尊い犠牲
ひたすら真面目な社会派
軽い気持ちで見始めたので大変だった
ちょっとこれでも見てみるか、という軽い気持ちで見始めたので大変だった。
面白いか、というとそうではない。ただ、そういう評価でやっつけるのも違う映画。基本、主観でしかないので、おもんないものはおもんないで片付けるけど、これはそれを阻む力がある。
映画、ということで言うと、長い。前半のビコと後半の亡命で流れが変わる。そこで疲れてしまう。ベタな映画でいうと、これどちらかに絞って一本作ると思う。実際そのほうが目的が鮮明になるし観る方も観やすい。
まあ、観やすい映画の見過ぎだな。そのせいで、こういうの評価できなくなるとまずい。。
ラストの暴動回想と飛び去る飛行機、死因リスト。ここに辿り着くまでの時間を省略はできない、その意図がちゃんと伝わるつくりになっている。
後半はほとんどサスペンス映画のよう。
決して悪くはないが…
映画全体として悪くはないが、ウッズの亡命後のストーリーまで描いてほしいと思った。あえて描かなかったのが、それとも描けなかったのかはわからないが、ハッピーエンドは避けたかったのだと思う。ゆえにラストの方はウッズ家族の絆的なファミリー映画感があったのは否めない。ケビン・クラインとデンゼル・ワシントンの演技は見事。
観て損はない
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