愛しのタチアナのレビュー・感想・評価
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なんかすごい映画を観てしまった気がする。全然会話がなく、どこを切り...
なんかすごい映画を観てしまった気がする。全然会話がなく、どこを切り取っても大きな意味はないし、盛り上がりも特になく、相変わらず無表情な雰囲気のまま淡々と進んでいく感じで、この監督の作風が如実に出てるけど、それがロードムービーの形でも表現できるとは驚き。筋が際立ってないだけに、まさにセンスによって作り上げられた映画。
どうしてか愛おしい
無口で仏頂面で気が回らなくて老眼の中年男性のとびっきりマゴマゴ可愛い姿が見れるのはこの映画。
モノクロの締まった画面の美しさと仕草で伝える情感で満ちている。
おもわず笑ってしまうどうしょうもなさも良かったな。
今まで観たアキ・カウリスマキ作品の中で一番登場人物の笑顔が見れた気がする。
二人のダメ男っぷりが愛おしい
アキ・カウリスマキの作品にしては珍しい、お喋りな男が登場したかと思いきや、口数も少なく無表情ないつものカウリスマキ映画、かと思いきや不運に陥る厳しい状況で生きる人物が存在しない、一つ筋の通った物語すら欠如した、古き良きオールディーズなアメリカを映した60年代のフィンランドを舞台に、試運転のドライブから日を跨ぎ国境ですら海を越えて非常識スレスレで起こす突発的な行動からの恋愛成就!?
今まで観たアキの映画の中で一番、シュールかもしれない、一息吐く行動が壮大すぎる、チョロっと出て帰って来たみたいにする最後、お母さんを無事に救出、何事も無かったかの如く日々の日常へ、作品のタイトルが物語の中でも控え目な扱い過ぎて、お笑い芸人に鑑賞しながらツッコむ副音声を聴きながら観たら面白そう??
【独特の、可笑しみあるロード・ムービー。アキ・カウリスマキ監督、モノトーンの画調やオフビート感と言い、ジム・ジャームッシュ監督の初期作品「ストレンジャー・ザン・パラダイス」に影響を受けたでしょう!。】
■1960年代のフィンランド。
コーヒー中毒の仕立屋・バルトは、修理工の友人・レイノと一緒に車で当てのない旅に出る。
途中立ち寄ったバーで、タチアナ(カティ・オウティネン:ご存じの通り、アキ・カウリスマキ監督のミューズである。)とクラウディアという外国人の女性2人組と出会ったバルトたちは、2人を港まで送ることにする。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・アキ・カウリスマキ監督作品に共通する、短い台詞と、微妙な間が、何だかオカシイ作品である。
・バルトとレイノは顔見知りでもない、タチアナとクラウディアと言うロシア人と立ち寄ったバーで出会い、頼まれて港まで車で送る。
ー 相変わらず、感情を表に出さないバルトとレイノ。アキ・カウリスマキ監督作品に共通する要素である。-
・笑えるのは、途中で泊まったホテルで、男女が一緒に部屋に泊まるも、何もせずに男だけ寝てしまい、女はそんな男の姿を見ている。
ー だが、タチアナはレイノの寝たばこを優しく指の間から抜いて上げる。-
<そして、別れの場であるはずの港の傍のタリン駅でタチアナとレイは”一緒に暮らすから・・”と言って、クラウディアは船に乗り、一人残されたバルトは憤懣やるかたなき想いと若干寂しき想いを抱えつつ)で、勝手に4人を乗せて喫茶店に突っ込む妄想をしたりしながら、家に戻り母を閉じこめたドアのカギを開け、再び仕立て仕事に戻り、母も何も言わずに、キッチンに立つ。
人によっては、”全然面白くないじゃん!”と思うかも知れないが、私はこのオフビート感溢れる世界観が好きである。
アキ・カウリスマキ監督、モノトーンの画調と言い、オフビート感と言い、ジム・ジャームッシュ監督の初期作品「ストレンジャー・パラダイス」や、「ダウン・バイ・ロー」(特に前作品)に影響を受けたでしょう。違うかな??>
カウリスマキ!
ジョン・トラボルタをさらに太らせたような男はコーヒー中毒のヴァルト(マト・ヴァルトネン)。ロックンローラー気取りのウォッカ中毒男はレイノ(マッティ・ペロンパー)。とにかく女性の前では内気で無口な男となる二人。安ホテルに泊まっても何もせず、ただ食って寝るだけの二組。何もしゃべらない男女なのに台詞を想像してしまい、どこかで心が通じ合うのが不思議だ。突然の旅であったが、更に「外国へ行こう」ということになるところが素敵ですね。レイノは言葉の壁をどう乗り越えるのか・・・多分この後も無口のままなのだろうな。
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