劇場公開日 1997年12月20日

「真の愛とは……」タイタニック Sisyoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0真の愛とは……

2016年4月25日
iPhoneアプリから投稿

『タイタニック号沈没事件』は当時世界最悪の海難事件として、長い世代に渡り受け継がれることになるだろう。

オリンピック級の豪華客船で当時世界最大であった。
正式名称「RMS」郵便船でスピードよりも設備の豪華さに重点を置く設計に仕上げ、16区画のうち2区画が浸水しても沈没しないことから「不沈船」とも呼ばれていた。
しかし、出発時に双眼鏡を忘れ、さらに氷山の異常南下もあり少し不運な出航となったのだった。

ジェームズキャメロン監督は、この大きな出来事に二人の愛を加えたのである。それが、ジャックドーソン演じるレオナルドディカプリオとローズ演じるケイトウィンスレット。

二人は偶然の出会いだった。
最初のローズは強張った顔をして、自分の歩む人生に疑問を抱く日々を送っていた。
したいことができない辛さ、愛していたものの相手が自分の思う人とかけ離れていく悲しさ。
そんなローズに一人の男が現れる。ジャックだ。
彼は三等旅客でローズとは身分の高みが違いすぎる。
でもジャックは彼女に一目惚れする。
彼は彼女に会い、話をする。
見てる私達もドキドキしてしまう。
彼は自分が描いたあらゆる女性の鉛筆画を彼女に見せる……
このように二人が本当のカップルのように、共にいる時間が長くなり、最後には二人が愛する気持ちを告白する。

こう見ると、ただのラブストーリーにしか見えないだろう。しかしタイトルは「真実の愛」ではなく「タイタニック」なのである。

ちょうど後半に差し掛かると、ローズの相手にジャックとの出会いがバレてしまい、二人が会うのが難しくなってしまう。それでも会いたい、でも相手がいる…そんな思いが彼女の心を迷わせていたその時、あの事件は起こってしまうのである。

神に手を合わす人、自分が誰か分からなくなる人、手を繋ぎベッドに横たわる老夫婦……おそらく船に乗る全員の人間がパニックに陥っていただろう。でも、勇気の存在があったことを忘れてはいけません。沈没の最後まで音楽を奏で落ち着きを取り戻そうとした音楽隊。この音楽で勇気をもらった旅客も多いだろうと私は思う。ただ、この音楽隊は一人も助からなかったのも事実である。

そして、ジャックとローズは沈没後、冷たく静かな海の上で助けを待っていた。誰も助けに来てくれない。明かりも遠くにチラつき、希望が失われていく。次第に冷たい海が二人の心を閉ざし始める。二人は必死に声を掛け合い続けたがジャックの心が助けの来る前に閉じきってしまった。

その後ローズは助けられ、港に降りた。
最後、ローズが生存者確認のため名前を尋ねられる場面があったのを覚えているだろうか?
彼女は「ローズドーソン」と優しくささやいたのである。

この映画は史実に基づく出来事です。
実際に1513人の旅客が亡くなった。
もしかすると、その旅客に二人のようなカップルがいたかもしれない。二人が真の愛に目覚め、これから人生を築き上げようと決意したその日に起こった大惨事である。
本当に人はパニックに陥ると我を忘れてしまう。でも、二人には愛があった。かけがえのない愛が。
三等旅客と一等旅客の出会うことのなかった愛がこの映画では描かれているのである。
ローズの心には未だに彼のことを忘れてはいないだろう。海深くに眠る彼を。タイタニック号と共に…

「タイタニック」は私の生涯映画となった。おそらく今後一生この映画を越すものは登場しないだろう。
本当に起こった出来事を忠実に描き、タイタニック号が真っ二つに割れる場面はド迫力で驚くばかりだった。また、映像美も素晴らしく豪華客船の特徴を繊細に表現していた。
また、何と言ってもラブストーリーからパニックストーリーの展開でよくぞ3時間半にまとめ上げたキャメロン監督、素晴らしい!
それに、この映画を初めて見たとき、泣きっぱなしだったのを今でも覚えている。
愛は他のどの感情よりも素晴らしく輝かしいもの。
その愛を史実に添えこれ以上にない作品へと仕上がった。世界的にも大ヒットを博し、全世界の人間に思いが伝わったのだと評価する。

最後にタイタニックといえば音楽を忘れてはならない。作曲家ジェームズホーナーは、2015年突然の死に全世界が騒然とし、また一人偉大な人物を失ったと多くのメディアがとらえていた。
映画の中で印象に残る曲といえば……
タイタニック号出航時に流れる、快活で気持ちの良い勇気が生まれるメロディが特徴の「Southampton」。
沈没時に流れる、緊張感溢れスピーディーで迫り来る危険を感じさせる「Hard to Starboard」。
そして、知っている人も多いはず!
セリーナディオンが歌った「My Heart will Go On」。ローズの気持ちを歌った、悲しみに溢れ、決して彼の死を諦めない歌詞は多くの人の心を打った。

真の愛とは何か。
二人は偶然の出会いだった。
しかし、出会いといっても人間は勇気がないと愛には立ち向かえません。
そう、勇気こそが偶然の出会いへと導いたのです。
真の愛は何事にも代えがたいもの。
そんな勇気から出会いへと導いた愛に亀裂の入る出来事が起きたらあなたはどうしますか?
真を信じれば大丈夫。
だって、あなたの心は変わらないのだから。

〜My Heart will Go On〜

Sisyo