「西部劇の美しい映像を楽しむ映画」捜索者 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
西部劇の美しい映像を楽しむ映画
西部劇と言えばあの風景と世界中の人々が思い浮かべるモニュメントバレーの光景が、美しいカラーでワイド画面いっぱいに広がる
カメラの構図、アングル、広角や望遠レンズの多用など撮り方にはかなりの苦心とこだわりがみてとれる
明らかに本作が後にデビットリーン監督のアラビアのロレンスの映像に大きな影響を与えているとわかる
それほどの素晴らしい映像だ
もちろんインディアンとの戦闘シーンも迫力満点だ
しかし映画を見通してカタルシスを得られないのだ
まず主人公のジョンウェインの造形がヒーローとしては異質で悪役を思わせる設定
だから相棒の若者との長い旅があまり楽しくないのだ
最後はハッピーエンドなのだが大団円という感動が起こらない
主人公が最後に人格を変えるのだが、そこに至る過程が共感をもてないままラストシーンを迎えてしまう
そして肝心のインディアンとの戦闘シーンも駅馬車と比べると見劣りしてしまう
これだけ?と思ってしまうのだ
これでは確かに公開当時はヒットしなかったのもむべないと思う
21世紀に生きる人間の目で見ると、インディアンを人間扱いしないシーンは胸糞が悪い
彼らからすれば白人こそ侵略者なのだ
しかし当時はこうであるのだからそれをそのまま映画に残す態度で正しい
本作の価値を落とすものではない
西部劇の美しい映像を楽しむ
これが本作の見方ではないか
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