「ご都合主義的な展開が目に付く」スタア誕生(1937) 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
ご都合主義的な展開が目に付く
今作は三度もリメイクされた名作らしい。だがご都合主義的なストーリーで良い出来栄えとは思えなかった。
まず、エスターが有名人が集まるパーティに行ったら、たまたま有名俳優のノーマンに見初められ、トントン拍子に良い役をもらえるのが不自然に思える。オードリー・ヘップバーンばりの絶世の美人なら周囲が放っておかないので、そうやって上手くいくのも分かるけど、彼女はそこまでじゃない。ノーマンが落ち目になるのも、なぜ彼が落ち目になるのかよく分からないので、悲劇的な展開にするために強引にそうしたように感じられる。
冒頭に、エスターの祖母が夢を実現するのには困難が伴うと語っていた。エスターの場合ノーマンとの関係に困難はあっても、女優としての成功に困難が伴っているようには見えないので、ストーリーに深みが出ない。
個人的には、下積みから戦略を考えて成り上がっていくエスターの姿が見たかったけれど、今作で描きたいのはあくまでエスターとノーマンとの恋愛なのだろう。
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