スキャンダル 愛の罠のレビュー・感想・評価
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エロティック・サスペンス…なのかもよく解らない愛憎・監禁・復讐劇。
WOWOWの特集「イタリアのアモーレ ラウラ・アントネッリ」にて。
『青い体験』(’73)から12年、40代のラウラ・アントネッリが妖艶な色気を見せながらも、ピチピチの娘に負けちゃう役回り。
脚本家チームにルチオ・フルチの名があり、なるほど…な作品。
音楽はエンニオ・モリコーネだが、明らかに力は入っていない。
真っ赤なドレスの裾を捲りあげて自慰をしているアントネッリのスチールが刷り込まれたポスターに誘われて、日本公開当時劇場で観た記憶がある。
どうやら、事件の舞台はパリらしい。
だが、復讐のターゲットとなるマイケルという男(トニー・ムサンテ)は、イタリア人でもフランス人でもなくアメリカ人の設定らしい。細川俊之を思わせる風貌だが、特にイイ男だとは思えない。
マイケルには愛人がいて、愛人ヘレン(フロリンダ・ボルカン)には幼い男の子がいる。これがまたバカ息子で…。
事件が起きるのはヘレンのマンションの向かいの部屋。
そこにはマンションの大家マリーが娘と二人で暮らしていた。
大家のマリーを演じるのがラウラ・アントネッリで、マリーとマイケルの間には、マリーが少女時代に関係があったようだ。
マリーの少女時代を演じるのはクリスティーナ・マルシラク、マリーの娘ジャクリーヌを演じるのはブランカ・マルシラクという同じ姓の女優で、この二人が極めて魅力的だ。
二人とも十代の少女に見えるのだが、美しい肢体を曝して大胆に演じている。最初は同じ女優かと思ったが、よく見ると似ているわけでもない。
こういう幼く見える女優(実年齢は分からないが)にここまでやらせるのが、イタリアのお色気映画のすごいところ(褒めてない)でもある。
さて、ストーリーが目茶苦茶なら、演出もグダグダだ。
ドスケベ男マイケルは、マンションの大家がマリーだと知って彼女の部屋を訪ねないではいられなくなる。
マリーは、16年前に避暑地で出会って緊縛プレイを教えた可憐な少女なのだ。酷いことをする外道な男だ。
ただ、女優比較では25年くらいは離れていそうな気がする…。
マイケルが部屋を訪ね、ドアを開けてジャクリーヌが顔を出すと紗が掛かっている。グレース・ケリーやイングリッド・バーグマンじゃあるまいし…公開された当時においても廃れていた古い技術だ。が、ブランカ・マルシラクが美しいだけにインパクトはある。
マリーと再開したマイケルの下半身は当然に騒ぎだす。そこでも紗を掛けたりスローモーションを使ったりのお粗末な演出で、驚く。
ここでマイケルはマリーによって監禁されるという、思わぬ展開。
ジャクリーヌに助けを乞うも、母親を裏切れない。
マリーの動機は、かつて遊ばれたことへの恨みか、マイケルを独占したい長年の欲求か、なんだか解らないが、マイケルを監禁する。
映画の冒頭で、ヘレンの部屋で一夜を明かしたマイケルにヘレンはブレスレットをプレゼントしていた。マイケルが監禁される前、ジャクリーヌがマイケルのブレスレットを欲しがる場面があるので、これが最後にキーアイテムになることは予想どおり。
連絡が取れなくなったマイケルを心配して動き出すヘレンと、なんとか脱出を試みるマイケルが同時進行で描かれる。一応、サスペンスの体である。
が、外道マイケルのジャクリーヌをものにしたいスケベ心は衰えず、母親にとかく指図されるジャクリーヌの反抗心も助けて、ピチピチ娘を頂いてしまうのだ。
字幕が少ないので、本当はもっと説明されているのかもしれないが、いやいや、どう見ても登場人物の心理など全く描かれているとは思えない。
かくして、色に目覚めた娘の裏切りにあって、男とともに監禁されてしまう哀れな色情母を演じたアントネッリは、ある意味アッパレだ。
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