ジョニーは戦場へ行ったのレビュー・感想・評価
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トラウマ映画と聞いて見てみれば
医療従事者にとって最大級の課題、などと偉そうなことは云えないけれど、患者の尊厳を如何にして守るのか、考えさせられる作品でした。けれども、なぜだろう。「苦しいのは、あなただけじゃない」という意見が思い浮かぶのは何故か。この映画に登場する、看護に携わる人々もそりゃあ見ていて辛いだろう。例え、五体満足でも色々な問題を抱えて生きているはずだから――中盤から登場する看護師がかけている十字架のペンダントが実に象徴的だったと感じています。合わせて、彼に送ったメッセージも。
モノクロとカラーの切り替えが非常に印象に残っている
戦争によって目・鼻・口・耳を失い、医者からは四肢を奪われた主人公。
かろうじて動く頭、そして思考によって自分の希望を伝えようとするも…。
回想シーンではカラー、搬送後の病院ではモノクロというように、
過去と現在でカラーとモノクロを切り替える表現が印象的でした。
戦争で感覚を失い、病院では自由を奪われた。
”頭”を使って他人との意思疎通に成功するも、誰も彼の意見を聞いてくれず。
心の支えだった優しい看護婦も追い出され。自分を殺してくれる人も居ず、
かといって自◯することもできず、足がないので逃げ出すこともできない。
意思のある肉塊として、死ぬまで実験台として利用され続ける。
救いのない映画でした。
戦争そのものを描いたシーンはほぼないのですが、
戦争が起こると何が失われるのか、誰に利用されるのか?
そういったことも学べる映画だと思います。
一つの事案に対し多角的視点で判断する事の重要さ
まず、この映画を鑑賞しようとしたきっかけは、某ヘビメタバンドの曲のビデオクリップにこの映画の映像が差し込まれていて、当時はその映像に恐怖を感じました。
曲のライナー(解説)は走り読みでこの映画のタイトルが頭に残り、歌詞はこの映画の世界そのものであり、私個人として第一次世界大戦だけでなく反戦というか当時のアフガニスタン紛争事案に対して訴えている内容なのだと私は感じました。
そのビデオクリップから35年近くが経過しある映画館でこの映画の宣伝を見て鑑賞してみたくなりました。
さすがに、当時のような恐怖は感じないだろうと。
当時とは異なるが、別の恐怖を感じました。
終戦という時期における企画なのかもしれないが、映画というエンターテインメントの枠だけでは収まりきれない強烈なメッセージを感じましました。
戦争も恐怖を感じましたが、ヒト、人間に恐怖を感じる作品だと感じました。
何が正義で何が悪か、理由をつけ自身で納得をし行動をすることが殆どであると思いますが、判断に至るまでの過程でどのような情報に触れその判断に至ったのか。
ジョーは行かないという判断もできたはずでしょうが、戦場へ行った。
きっと、ヒト、人間、大多数の意見、幼い頃からの環境で洗脳とは言わないが一つの流れの中に巻き込まれ幻想のようなものを抱きながらそれを大義と捉え、きっと、というか劇中のセリフでもあるように国のため、同年代も参加しているしという流れもあり、戦地に向かうのでした。
きっと何かに対して賛成、あるいは反対とし意思表明をする機会はあるが、逆らえない流れはある。
作品の中では、不幸にも生かされてしまい、意思疎通がしっかり行えないながらも手段を見出し、理解してもらえると信じて本心を伝えたものの、国という巨大な組織の前になかったものとされ、また闇に閉じ込められてしまう。
病院に運ばれた当初よりも扱いが酷くなるようなニュアンスで幕を閉じる。
延命処置は本当に必要なのかというところまで考えさせられる映画だったと感じた。
自然の摂理、生と死、ヒトも動物、理由は様々だが死は必ずあるものと考えると、他者の思いで延命をすることが必ずしも善であるとは言いがたい。
主人公も、自分の希望が通らないときは…と伝えているにも関わらず、闇に閉じ込め生かし続ける事は無責任とも感じた。
考えさせられる作品だった。
ジョニーが来たなら伝えてよ…
オマエ…ホントによく頑張ったな!
邦画の『キャタピラ』並みにエグッい。
ただ息だけしてたら…生きていることになるのか?
活きていてこその人生、、そう思うのは傲慢か?
ただ…コレだけは言いたい、
時代が時代とはいえ、ジョニーの行く末を…外野が決めるな!
タイトルなし(ネタバレ)
今回が3度目くらいか。過去は、ホール上映とビデオ録画だったので映画館では初。
第一次大戦で塹壕のなかで爆撃を受けた青年ジョー(ティモシー・ボトムズ)。
出征前夜の恋人カリーン(キャシー・フィールズ)のことを思い出す。
するうち、手足がなく、顔の大半も失っていることに気づく。
軍医たちは、肉塊と化したジョーに意識などないと考えたが、意外にも意識はあった・・・
といった物語。
出征前の追憶、死と直面しての幻想・・・ それらがカラーで描かれます。
父(ジェイソン・ロバーズ)やキリスト(ドナルド・サザーランド)が登場するジョーの意識は、追憶だけでないから、いくつかのエピソードは難解でグロテスクかもしれません。
観察対象としてのみの治療を受ける現実世界はモノクロ。
暗闇無音の世界で、日の移り変わりを知るシーンの強烈さ、クリスマスを知るシーンの歓喜と切なさ。ラストの声なき叫びの無限に続く地獄。
緊張感は半端なく、容赦しない。
人間は神が作り出したかもしれないが、彼は人間が作り出した・・・
トラウマ必至の映画です。
噂には聞いていたが…
なかなか見る機会と粗方のストーリーは知っていたので、見る気力がなかった。
見てみるとジョニーが夢見るシーンや回想はカラーで現実の病室シーンがモノクロ。
反戦映画ではあるけどもダルトン・トランボ自身はそれだけで描いていない様な。
白日夢、恋愛、不条理、キリスト(ドナルド・サザーランド!)との対話、ユーモラスさもあり飽きさせない妙がある。
しかし、今まで研究対象としか見ていなかったジョニーがモールス信号で意思があり意思疎通が出来る、人間と認めた時には涙が出てしまった…。
彼の残された望みは死のみ。
だが、映画は非情にも暗転し終了。
観て良かったとは思えないが死ぬまで忘れられない名作だった。
半世紀前の
…作品。
しかし今も戦争は起きている。
人間って馬鹿なんですかね。
戦争映画ってなんで作られるんだろう。
戦争の愚かさを知らしめるためではないんだね、多分。
夢?妄想?の中で父や恋人や友達と会うジョニー。
せつない…。
自分だったら…と想像すると、よりキツいラスト
戦争の惨さ以上に、医療現場の患者対応の粗さにモヤモヤを感じた。
おそらく当時にも、本人はもう何も感じない「だろう」という予想のもとで劇中のような扱いを受けていた人はいただろうと思う。
ただ生かされている状態の中でも、ナースの優しさで陽の光を感じたり、会話をしたりといった喜びを感じられていたところでの、あのラスト…救いのなさ、絶望感を感じてしまう。
軍人として戦争に行った段階から道具として政府に扱われているのかもしれないが、負傷して多くを失った状態でも尚あのような扱いを受けるのは、自分だったらと想像するととても苦しかった。
『ミリオンダラー・ベイビー』と並べて見てはいけないと僕は思う。
肉の塊になっても、人間としての『性』が無くなっていない。残酷な事だが、生きている証拠。それを手助けする看護師の愛の力。『無償の愛(アガペー)』だと思う。キリスト教的であり、僕等日本人には分からない。
肉の塊だったが、徐々に人間性を取り戻し、悪夢を見て、死にたいと自我を持つ。『我思う故に我あり』か?いずれにしろ、
それが『生への讃歌』だと僕は見た。そして『人間死ぬときは誰でも一人』と避けられない運命を解いている。『尊厳死を肯定する行為』と『障害への恐怖心』と間違って解釈してはいけないと感じた。この映画では、看護師の『究極の選択』を否定している。僕はその点を評価している。この映画を『悪夢』で終わらさなければならない。そして、そうなりたくなければ『デモクラシーの為に戦わなければ良い』のである。実に明解だ。反戦映画としても傑作だと思う。
筋金入りの真のハリウッドテンだと思う。
『ミリオンダラー・ベイビー』と並べて見てはいけないと僕は思う。
あまりに気の毒
主人公は「ジョー」と呼ばれていて、ジョニーは出てこないけど、ジョニーはジョーのことでいいのだろうか。イギリスではどっちも大差ないのだろうか。大脳を失っていながら、意識があって、モールス信号への返事で激しく首を振っているのが痛々しい。そんな主人公の回想と現在を行き来する構成で、見ていると眠くなり何度も寝落ちして見終わるのに苦労した。
タイトルなし(ネタバレ)
METALLICAの『ONE』のモチーフとなった映画と聞いて、本作品を観賞しました。
この映画の訴える反戦の激情と、ジョーの底知れぬ絶望感は圧倒的です。
観賞後も、ジョーのSOSが脳裏を離れませんでした
強烈なメッセージ性
反戦メッセージだけでなく、宗教や政治思想の理想と矛盾、人間の尊厳と定義など、人生のあらゆる事が込められていると思いました。
お偉方が若者を戦争に駆り立て、宗教指導者達(恐らく三大宗教と見られる指導者達が現れるワンシーンがあります)は、平和の為に尊い犠牲を払ったあなたが犯した罪は許されますよって、何だか痛烈な皮肉です。
でも"あらゆる所に神や愛が宿る"と言う格言の意味が、眩しいばかりのカラーシーンから感じられました。例え小さなものしか持ち合わせていなくても、感謝して愛して人生謳歌しないと勿体ないのです。
"You see these? Two arms. You see these? Two legs; And you see this? One girl; what else does anyone want?"
これほどの恐怖はない
総合:65点
ストーリー: 85
キャスト: 70
演出: 75
ビジュアル: 55
音楽: 65
怖い。とにかく怖い。絶望だけが支配する暗闇には、光も音も匂いも存在しない。もし自分が彼の立場だったらと思うと、筆舌に尽くしがたい表しようのない恐怖を感じる。どんな恐怖映画よりも悲惨。これ以上の恐怖を私はどうしても思いつかない。
彼の苦悩は今後どこまで続くのだろうか。無限地獄である。見世物という考え付く唯一の自らの生存の意義をようやく考えても、それすらいとも簡単に拒否される。彼はその地獄を自ら終わらせることを望んでも、それを実行する力すらもっていない。変な話だが、彼が少しでも早くその苦しみから解放されることを望んでしまう。私が彼であったならば間違いなく強くそれを望むからである。
すごい映画ではあるのだが、残念ながらこれを見た後の気分があまりよくなかった。とても耐えられない地獄である。だから得点は低めです。
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