劇場公開日 2025年8月1日

「夢みるように眠りたい」ジョニーは戦場へ行った 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0夢みるように眠りたい

2025年8月9日
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鑑賞方法:映画館

原作小説の「ジョニーは銃をとった」は随分前に読んでいる。その後トランボ自身によって映画化された本作も見たが、小説があくまでジョーの想念の流れのみによって成り立っているのに対して、映画ではベッドに横たわるジョーや病室、病院の人々の客観描写があるために、沈黙と闇の中に取り残されている感覚が弱まり、随分と印象が異なる。
回想や幻想シーンがカラフルで、現実の病室がモノクロという手法はいいとしても、全体としてはいささか紋切型の描写にとどまっていて、残念ながら原作には及ばないと思う。
主人公の名前をジョニーと勘違いしている人が結構いらっしゃるみたいだが、johnnyはあくまで国威高揚の歌のフレーズ“johnny get your gun”を揶揄したもので、彼の名はジョーだ(「アニーよ銃をとれ」というミュージカルもあった)。
原作に「彼はまだ考えることのできる心を持った死者だった。」という一行がある。触覚以外の感覚を失った一人の青年の、果てしのない苦悩の物語である。

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梨剥く侍