「犬 と プディング」しのび逢い ムッシュ・リポアの恋愛修業 jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)
犬 と プディング
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英国にいるフランス人男性リポアのドンファン人生を描く
彼がおつき合いをする女性は
一人を除いて 全員英国人なのだが
リポア(フィリップ)とフランス語で会話してるし
大都市ロンドンも恋愛修行物語の背景となるように充分に
美しく撮影されている
フランス映画みたい
(1954年の英仏合作映画)
(撮影オズワルド・モリス)
ノラとの攻防?の場面がとくに印象に残った
一匹の野良犬をはさんだ雨の中のふたり
リポアは犬を口実に彼女を部屋に連れ込んでみる
その後、追い出された犬は名残惜しそうだが
少女を見つけて追いかけてゆく
雨に濡れたふたりのキスシーンは映画の中で唯一、官能的
苦境の時は年上のフランス人娼婦に拾ってもらう
そして彼女の部屋には愛玩犬が……
狂言自殺で二階から転落したのは
花から花へと飛び回っていた蝶々みたいな彼の羽が破れた瞬間か
そしてフィリップのリポアには堕天使みたいな風情もある
その浮き世離れした美貌と笑顔が見たくて
女たちはつい甘やかしてしまう
それが彼の演じるリポアの生命線なのだな
そして女の〈私だけは違うかも〉というナルシシズムみたいなものを
こういう男が攻めていることも、しっかり描かれている
最後は計算違いだろうけど
英国男のドンファン映画「アルフィー」(1967)でも野良犬が登場していた
こういう男たちのイメージにしてるのね、英国だし
そしてリポアはマンチェスタープリンが不味い、と暴れ
アルフィーは絶品エッグカスタードを作る女が出ていったあと絶叫してたな
「アルフィー」のスタッフはこの映画を参考にしたのだろうか
やっぱりルネ・クレマンは上手い、としみじみ思いました
手練れ、という感じですかね
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