劇場公開日 1954年8月24日

「陪審員の判決に至る過程をドラマチックに描くカイヤットの秀作」裁きは終りぬ Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0陪審員の判決に至る過程をドラマチックに描くカイヤットの秀作

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

シドニー・ルメットの名作「十二人の怒れる男」に並ぶ法廷もの映画の秀作。弁護士出身のカイヤット監督とシャルル・スパークの脚本が、陪審員七人のそれぞれの生活環境から培われる価値観を克明に描き、観るものを八番目の陪審員にさせて映画の中に引き摺り込む。密室のなかでヘンリー・フォンダの推理にくぎ付けになる緊迫感の醍醐味と違って、自分が陪審員の立場ならどう判決を下すだろうかと悩みながら観る思考訓練の面白さ。また「十二人の怒れる男」は十二人の満場一致が最終判決だが、こちらのフランス映画は七人による多数決で判決が決まる。その曖昧さ微妙さが、映画の面白さ真面目さになっている。
日本で裁判員制度が施行されたとき、まずこの二作品が頭を過ぎる。

Gustav