劇場公開日 1989年2月18日

「【”女性の同意なしに暴行するのも、周囲で煽り立てるのも重罪。”今作は現代社会に蔓延する事象に、真正面から警句を投げかけた作品である。ジョディ・フォスターの心意気も凄き作品でもある。】」告発の行方 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 【”女性の同意なしに暴行するのも、周囲で煽り立てるのも重罪。”今作は現代社会に蔓延する事象に、真正面から警句を投げかけた作品である。ジョディ・フォスターの心意気も凄き作品でもある。】

2025年10月17日
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■勤務先の酒場で、酔ってマリワナも吸っていたサラ・トバイアス(ジョディ・フォスター)を3人の男たちが奥のピンボールゲーム場で暴行する。
 サラはその場を逃げ出し、”その場にいたある男”からの電話で3人は逮捕される。地方検事補・キャサリン(ケリー・マクギリス)は裁判の準備を進めるが、サラに有利な証拠が揃わない。キャサリンは、サラに告げる事無く弁護側と司法取引をし、容疑者達は過失傷害罪、懲役たった9カ月となり、それをニュースで知ったサラは怒りの余りキャサリンの所属する事務所に怒鳴り込む。反省したキャサリンは事務所の反対を押し切り、酒場に居て周囲で煽り立てた男3人を告発するのであった。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・当たり前であるが、どのような状況下においても、女性の同意なしに暴行するのは重罪である。今作では、一度は司法取引をし、過失傷害罪で弁護側と手を打った地方検事補・キャサリンが、負けた場合に将来に傷が付くのを覚悟で、一発逆転の”周囲で煽り立てた”男達を告発する手段に出た所が、法廷劇としては目から鱗である。

・そして、キャサリンは警察に電話をした”その場にいたある男”を、酒場に行き、ピンボールの得点が付いた日付を見て、ケン・ジョイスを探し出すのである。彼は良心の呵責と、暴行犯で親友のボブとの板挟みになっていたのである。

■今作の見所は、法廷で証言台に立つ、毅然とした態度のサラ・トバイアスと、酒場での乱れた姿、言動故に暴行されたサラ・トバイアスを演じた若き名優ジョディ・フォスターの演技であろう。
 特に、酒場での暴行シーンは彼女ほどのキャリアがあれば、断っても良い筈であるが、この稀有な女優はあの役を敢然と引き受け、演じ切ったのである。
 今や社会派でもあるジョディ・フォスターの、アメリカでの婦女暴行の実態に対し、警句を与えるためだと思われるのである。

<今作は現代社会に蔓延する事象に、真正面から警句を投げかけた作品である。それにしても、エンドで流れる当時のアメリカの婦女暴行の発生件数には、暗澹たる気持ちになる。
 別に、フェミニストを気取る気はないが、私は女性の同意なしに暴行するのも、周囲で煽り立てるのも重罪であり、同罪だと思うからである。>

NOBU
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