荒野の七人 真昼の決闘のレビュー・感想・評価
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本年はリー・ヴァン・クリーフ生誕100周年につき、大目にみて
シリーズ最終作。
邦題に『真昼の決闘』とあるが、1952年のフレッド・ジンネマン監督作品との共通点は主人公が保安官で歳の離れた若妻がいることぐらい。
原題が“The magnificent seven ride”なので、本作こそ『馬上の決闘』にすべきだったが、はやまったか。
ネームバリューやスター級の顔ぶれが揃った一作目の影に隠れて評価が低いが、個人的には三作目こそシリーズ最高傑作。
それに較べて本作は過激なだけで安直なシナリオ、凡庸なカメラワークにおざなりな演出とあらゆる点で見劣りする。
前回は重厚だった音楽の演奏も格段にスケールダウンしている。
皮肉な言い方だが、シリーズ終焉に相応しい凡作。
国内よりも海外での評価が高かったといわれる前作。作品の政治的方向性が起因してのことだろうが、国内での評価を考慮してか本作は革命路線から脱却。
それにしても女ばかりの村なんて設定は、大蔵映画かラス・メイヤーが考えそうな発想。
サイドストーリーに時間をかけ過ぎて、全体のバランスが悪いが、どうせ引っ張るなら、シェリーを最後まで生き残らせてクリスとの決着に持ち込んだ方が見てる側も溜飲が下がった筈。
メンバーの人物像の描き方も浅く、それ以上に敵側が無個性で無人格。
問答無用で少年を射殺する場面や女性蔑視の展開は今なら問題になるだろうし、一夫多妻についても槍玉に上げられそう。
褒めるとこなんかまったくない作品だけど、シリーズ中、唯一DVDを持っている。
理由はリー・ヴァン・クリーフの大ファンだから。
当然、他の出演作も数多く見ているが、犯罪者を徴発して事態の打開に当たらせるという本作の設定をそのまま踏襲した『ニューヨーク1997』(1982)でも感じる彼の凄味が今回は影を潜め、見ていてどこか物足りない。
でも、何が足りないのか、今度の放送を見直してようやく分かった。
足りないのではなく、多かったのだ。
毛が。
大半の場面で帽子を被っていても、髪型で印象は随分と変わる。
ユル・ブリナーのクリスだってツ●ッパ■だったし、禿げ隠しなんて要らなかったのに。
ラブロマンスの結末もヴァン・クリーフにはそぐわない。
推しポイントなんてまったくないけど、主演に免じて大まけで星3つ。
今年はリー・ヴァン・クリーフ生誕百年の節目。
どこも特集なんてやらないと思うが、あらためて評価して欲しい名バイプレーヤー。
サントリーのCMも、もう一度見てみたい。
BS12トゥエルビにて視聴。
強烈にパワー・アップしてあの七人が帰ってきた!
「荒野の七人」の最終作
総合65点 ( ストーリー:60点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
前半と後半で物語が分かれる。敵役も途中で変わってしまうし、村を守る七人はだいたいが途中加入の囚人だし、そのために敵味方ともにどのような人物なのかを把握し辛い。特に後半の敵役については情報が少なくて、ただ村を襲う悪い奴くらいのことしかわからないのは物語として弱いし、本来この作品に必要な七人をはじめとして登場人物の存在感がやや薄い。登場人物は主人公クリスと記者のノア以外の途中加入組ではせいぜい爆薬使いのエリオットくらいしか印象に残らないし、悪役では本命の敵で山賊のデ・トロではなくむしろ一番最初の罪を許されるシェリーが印象に残るだけ。村の女と囚人の隊を作ったり敵の進入路に狙撃点を作ったり銃だけでなく爆薬をしかけたりといった、敵を待ち伏せる作戦をしっかり描いたのは悪くなかった。
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