「いくつになっても、抗えない恋」恋におちて kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
いくつになっても、抗えない恋
本屋で出逢い、電車で再会する。
ところが観客はその前から二人のニアミスを見せられているので、運命的な出逢いだと解釈出来る。
奥ゆかしく、シンプルで解りやすい、すばらしいオープニング。
友人の離婚の理由を「愛がなくなったらしい」 と聞いた妻は「どこに愛なんてあるの」という。
でも、その妻は夫の「なにもなかった。もう会っていない」という告白に「その方が悪い」と言い、夫を許さない。
愛なんてありはしないと考えている妻は、夫の浮気話に愛の存在を感じたのだろうか。
一方、一日中男のことが頭から離れない女は、「いっそ彼と寝ていればよかった」と友人に話す。
肉体関係のある浮気とない浮気の違い。
男にとって、女にとって…。
この映画、お互いの妻・夫のどちらにも非はないところが重要。
夫婦関係に問題があったり、生活自体に問題を抱えていると、浮気したくなるし、浮気した自分を正当化できるが、この主人公たちはそうではない。
しかも、二人とも浮気性でもない。
そんな二人でも、ある日突然“恋におちる”ことがある。
そんな、分別があり、家族を大切に思っている真面目な人間が陥った恋には、もう抗えない。
人はそんな抗えない恋に憧れる。
歳をとればとるほど。
連絡手段が少なかった時代だからこその、もどかしさが良い。
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