クロノスのレビュー・感想・評価
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ギレルモ・デル・トロの吸血鬼
ギレルモ・デル・トロの監督デビュー作。1993年の作品。
映画監督のデビュー作って、鮮烈なデビューか、コケるか、すでにもうその後のスタイルが確立されているかのいずれかに分かれる。
デル・トロの場合、後者。
中世時代の謎の機械によって不老不死の吸血鬼となってしまった老人。
売れっ子となった今のデル・トロが手掛けても、デル・トロらしい!…と思うだろう。
独特のホラー×ダーク・ファンタジーは、最初から専売特許。
垣間見える後の片鱗も興味深い。
“クロノス”と呼ばれる謎の機械。金時計のような形から針が出て虫のような形になり、刺されると不老不死の吸血鬼になる。
凝った作り。“虫”は『ミミック』。“吸血鬼”は『ブレイド2』。
主人公の老人役の俳優は『デビルズ・バックボーン』にも出演。
無垢な孫娘。無垢な少女は『パンズ・ラビリンス』に通じる。
無垢な者と異形の者の交流は『シェイプ・オブ・ウォーター』。
そして、この頃から出演していたロン・パールマン。
ここまでブレないデル・トロって、自分にこだわりを持っててスゲェ…。
話は独特の雰囲気ではあるが、ホラーやダーク・ファンタジー色が強いというより、主人公の老人の悲劇が描かれている。
不老不死の吸血鬼になった事により、若返ってもいく。
と同時に、苦しめられる血への渇望。
醜い容姿になっていく。
“クロノス”を狙う富豪。甥に奪うよう命じる。疎ましく思う甥。エゴや憎悪。
暴力で襲撃される。不老不死故、死にはしない。が、痛みは感じる。
老人の苦しみ。
孫娘の無垢な眼差しが痛々しく突き刺さる。
ダークで悲劇的な作風は『ナイトメア・アリー』にも通じる。
謎を残したままなのも不思議な余韻残る。
あのラストは…? 老人の末路は…?
そもそも、“クロノス”とは…?
ギレルモ・デル・トロはデビューから只者ではなかった。
アウロラちゃんかわいい
あの機械がどいうものなのか、どういう仕組みなのか気になる。このパールマンは悪いパールマン。不死とはいえすごい力が身につくわけではない(という設定な)ので、これで生き続けるのはやだなあ。
ヘススはJesus
偶然にも錬金術師の書いた手帳を手に入れた大富豪デ・ラ・グァルディアは甥のアンヘル(パールマン)からクロノス発見の報せを受け、高額な料金で手に入れたつもりになっていた。しかし、ヘスス(ルッピ)が売ったのはそれを隠してあった天使の彫刻だけ。クロノスの虜になっていく老人ヘススは徐々に若返っていくのだが、同時に血をも欲するようになった。
吸血鬼とゾンビを一緒にしてしまったような設定だったが、不老不死の欲というより、クロノスというデバイスそのものに対する欲となっていく展開がどぎつくて面白い。デル・トロのデビュー作としての価値しかないようにも思われるが、ヘススの心理変化や、孫娘アウロラの可愛いけどおじいちゃんに盲従する性格も面白いのです。一旦は火葬されたおじいちゃん、スーツが前後逆だし、顔がボロボロになってるのに慕うのもどうかと・・・
ロン・パールマンはこんな役がよく似合う。不老不死の欲はないが、大富豪である叔父の遺産を欲するだけという性格もつり合いがとれていた。
ギレルモ・デル・トロの原点
血を吸われると不老不死になる機械時計を手に入れたじいちゃんがハッスルする。無口な孫娘がいつもくっついてる。途中展開が停滞して中弛みがあった。初めは肌が若返るが、次第に吸血鬼になり、しまいにはフランケンみたいな風貌に。最後は脱皮して白い幼虫みたいな身体になってエンド。
存在と永遠
永遠を求めるのは異常とされるが、すぐに存在しなくなるのに存在するのも無意味なので、一度、存在した以上は永遠を求める方が当然かもしれない。平和、繁栄、発展、正義、利益、生命は永遠を求め、好ましいが、違法行為、破壊、暴力、悪も存在する以上は永遠を求め、しぶとく消え失せない。だが何をしても無駄ではない。無は存在しない為に永遠ではない。
デル・トロ、デビュー
地味です。
しかし、立派なデル・トロ作品。
じいちゃんの変貌ぶりに一切動じない娘や
若いロン・パールマンの無駄な暴れっぷり。
チョイグロを入れつつ家族愛で締めるのは今も変わらず。
ただストーリーにあまり起伏がなく地味、
作品としてはもう一つですかね。
しかし、まぁ、どれだけ虫好きなんでしょうかw
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