「アニメを凌駕する実写ジム・グリンチ」グリンチ(2000) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
アニメを凌駕する実写ジム・グリンチ
ドクター・スースによる名作絵本。
クリスマスが大嫌いでひねくれ者の緑の毛むくじゃら、グリンチ。
2018年にイルミネーション・スタジオでアニメ映画化されたが、こちらはロン・ハワード監督&ジム・キャリー主演による2000年の実写版。
久々に見た。20年前に劇場で観て、その後レンタルで見て、それ以来くらい。
何か久々に見たら、アニメ版より面白かった。
アニメ版では子供時代のグリンチのキャラをポスターなどで推していた割には、描写は少しだけ。故に、性格の理由付けも今一つ。
こちらはちゃんと描いていて、納得。そりゃあああなるよ。可哀想なグリンチ。
話は…
クリスマス間近のフーの村。
とある女の子、シンディ・ルーはちょっとクリスマスに疑問。
クリスマスって、プレゼントだけなの…?
そんな時に出会ったグリンチ。ひねくれ&嫌われ者と聞いていたけど、危ない所を助けてくれた。きっと、本当はいい人。
グリンチさんをフーの村の名誉会長に推薦。授与式にご招待。だって、クリスマスなんだから。
でも、いじわる市長がいじわるする。グリンチと幼馴染みで、原因を作った人。
怒ったグリンチは大暴れ。ツリーなどをメチャメチャに。
これでクリスマスが出来なくなったと思いきや、スペアのツリーが。
怒りが収まらないグリンチ。ある事を思い付く。
フーの村からクリスマスを丸ごと盗んでやる…!
後半の展開はアニメ版でもお馴染み。
グリンチの奇想天外な大作戦!
アニメならまだしも、これを実写でやったんだから恐れ入る。
作風、美術、衣装…何から何まで絵本から飛び出してきたかのよう。
ロン・ハワードが童心爆発させたファミリー・ファンタジー。
だけどやっぱり、最大の立役者は…
オスカーを受賞したリック・ベイカーの特殊メイクも凄い。
そのメイクでグリンチに大変身したジム・キャリーの超ハイテンション演技!
判別不能のメイクながら表情豊か。歌まで披露するパフォーマンス。オーバー過ぎる演技が逆にドハマり。
普通漫画キャラはアニメ化した方が変幻自在なのに、圧倒的にジムの方が勝っている。
もはや快演、怪演。成りきりどころか、憑依レベル。
久々に見たら、スゲーわ…。
ある意味これ、賞モノだと思う。
クリスマスは“モノ”ではなく、“ハート”。
ツリーやプレゼントが無くなったって、家族や皆が居ればクリスマス。
それを教えてくれた女の子。
温かいハートが、3サイズ小さかったグリンチのハートを大きくする。
最後は盗んだモノを返して謝って、改心めでたし。
シンディ・ルーやフーの村の皆とクリスマス・パーティー。
嫌われ者でひねくれ者だったんじゃなく、寂しん坊だっただけ。
改心したけど、だけどまだちょっと毒気あるのが、“実写ジム・グリンチ”らしい。