「戦争映画の分岐点」グリーン・ベレー mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争映画の分岐点
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まず第一に映画としては結構面白くこの点に関しては評価してよいと思う。鑑賞後この作品について少し調べてみると公開時かなり賛否狩り評価が分かれた作品だという。確かにこの映画は反共宣言と南ベトナムにおける米軍関与を肯定するプロパガンダ映画である事は明白で、ベトナム戦争に関するアメリカの厭戦感に危機感を覚えた主演のジョン・ウエイン肝煎で作られた映画である。 この作品が制作された1968年はベトナム戦争に対するアメリカの介入が頂点に達し、後にベトナム戦争最大の戦いとも言われたテト攻勢のあった年であるとウィキペディアにはある。さらには多くのシナリオのご都合主義や史実の捏造など、リアリズム系から様々の批判を受け、オリバー・ストーンの『プラトーン』はこの映画に対する批判目的で制作されたというし「フルメタル・ジャケット」の原作でもこの作品に他する皮肉が込められたという。これほどまでに多くのジャーナリストや映画関係者に批判されながらも興行的には成功をおさめ批判は最大の宣伝となり結果としてベトナム戦争に対する米軍関与の批判を抑え込む効果を持ってしまったことは最大の皮肉であり、ジョン・ウェインのインディアン観がそのままベトナムに出た作品でありながらアメリカ人の根底にこの手の感性があり、それを肯定する最大のアイコンとしてのジョンウエインの存在感が揺るぎないものだという事を証明してしまったこの映画は今後も評価を二分し続けるという意味で無視できない映画と言ってよい。
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