「痛みと問い」クリーン、シェーブン 吹雪まんじゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
痛みと問い
どう捉えたら良いのか…扱いに困る作品でした。
監督は統合失調症の男の内面を描き、観客に疑似体験させ、問題提起を狙ったものと思われます。しかし、統合失調症=ピーターのような症状と決めつけてしまうのは短絡的だし、何より私自身が統合失調症ではないし、知識も無いので、この映画の演出が上手いかどうかの判断がつかないのです。困った。
監督もそうなることは承知の上で、入念に取材を重ねて、より正確な精神疾患の描写に注力したものと思います。だから観客は「そうなのか。大変なんだなぁ」と受け入れるしかないのです。監督は作品の捉え方を観客に委ねると言っていたそうです。
ただ、精神疾患に対する偏見を持った人が観たのであれば、それは大きな意味を持つと思います。この目を背けたくなるような痛々しくも苦しく、悲しい物語はあまりに強烈で、観た者の心に倫理的な問いをグサリと突き刺してくるから。
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