「甘甘ロマンスすぎるのだが命を救われたワンチャンの主人公に寄り添う姿やキモイおじさんの存在がなかなか」霧の波止場 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
甘甘ロマンスすぎるのだが命を救われたワンチャンの主人公に寄り添う姿やキモイおじさんの存在がなかなか
霧に包まれた波止場の一軒屋には人生に疲れた得体の知れない人達が出入りする。店主の奏でるギターの音色がムードを上げ、そこで出会った影の有る若い女の子ミシェル・モルガンとたちまち恋に落ちるジャンギャバン。後年、日活映画の幾つかがこの舞台設定を真似した様な。
一度別れて船の乗ったものの、彼女が気になり戻ってきてしまう。そこでかつて殴った男に恨まれて撃たれて命を落とす。死ぬ間際の最後のキス。甘すぎて、嫌になってしまう様なお話ではある。
ただ、そこで終わらず、主人を思ってか船から脱出し街を駆け抜けるイヌの姿で終わるのが、カッコいい。そう、最初の方で轢かれるところを助けられた後、ずっとジャンギャバンと一緒だったのだ。そして、ヒロインに年齢不応相に言い寄ったり、殺しを頼んだりする気色悪いオヤジ、ミシェル・シモンが人生の深淵を感じさせ、マルセル・カルネ監督作品であることを改めて思い起こさせる。
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