「ハリウッド映画の豪華絢爛たるレビューのスペクタクルに圧倒される」巨星ジーグフェルド Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ハリウッド映画の豪華絢爛たるレビューのスペクタクルに圧倒される

2021年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

正にハリウッド映画らしい豪華大作だ。レビュー王フロレンツ・ジーグフェルドの波乱に満ちた生涯をMGM映画風に改変させて事実とは違うものらしいが、そんなことを問題視する必要が無いほどに歌と踊りの絢爛たるショーに見惚れるばかりで、3時間の長い時間を楽しく過ごすことが出来る。昨年の「ザッツ・エンタテインメント」で観て驚いたシーンの凄さに、今回は完全に圧倒されてしまった。どうすればこんな撮影ができるのだろうかと、正直想像できない。このセットの巨大さ、ステージの広大さの、アメリカの資本力とエンターテインメントには脱帽せざるを得なかった。天国に届くほどのケーキ型のらせん階段のセットでは、それを覆うカーテンがあるが、天井の仕組みが全く見当が付かない。その一番下の段に披露された様々な民族衣装の華麗さも、目を瞠るばかりだ。もう一つは、いくつかの大きな長方形の舞台が、奥と手前に移動する見せ方。前者が舞台の高さを見せつけるスペクタクルと回転のショーアップで、後者は舞台の奥行きと広さを生かしたもの。ベットを使用した美しい踊りの上手さも凄い。
ただ期待外れだったのは、ジーグフェルドが興行の失敗から立ち直り、「リオ・リタ」「フーピー」「三銃士」「ショーボート」の上演に成功する絶頂期のハイライトが描かれなかったこと。多分前半の制作に予算を掛け過ぎて、後半に掛けるお金がなかったのだろう。個人的にはせめて「ショーボート」ぐらいはたっぷり映像化して欲しかった。全てに満足した訳ではないが、豪華絢爛な舞台と衣装のダンサーの見応えのあるレビューの凄さに対して、敬服と共に賛美を送りたい。

  1976年 11月27日  フィルムセンター

Gustav