劇場公開日 1994年6月11日

「挑戦的な設定の企画が俳優の演技を生かせないで終わるロード・ムービーの凡作」カリフォルニア(1993) Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5挑戦的な設定の企画が俳優の演技を生かせないで終わるロード・ムービーの凡作

2021年1月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ドミニク・セナ監督の長編第一作。精神異常の殺人者と、犯罪事件のセミドキュメンタリー映画制作の作家志望の青年の変化球ロード・ムービー。殺人動機を探るテーマより、その恐怖感のみが印象に残る。二枚目俳優ブラッド・ピットが振り幅の広さに敢えて挑戦した役柄。昔の美男スターでは考えられない汚れ役をしなくては今日のリアリティ映画優勢の映画界で評価されない現実がある。単なる好青年のつまらない役より、遣り甲斐があるのも確かであろう。対して、青年ブライアンを演じたデイヴィッド・ドゥカヴニーは、その個性の弱さで役柄に合っている。その恋人の女流写真家のジュリエット・ルイスは、個性的容貌と演技力で、殺人者アーリーと一定の距離を取る微妙な立場を上手く演じている。アーリーの恋人キャリーの愚鈍な女を演じるミシェル・フォーブスもそれなりの存在感。俳優の演技を生かせなかった脚本・演出が凡庸な映画に終わる。

Gustav