「予備情報も善し悪し…」カラスの飼育 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
予備情報も善し悪し…
近くの図書館でたまたま見つけ、
興味深いスペイン内戦時に絡む作品との
ことだったのでレンタル鑑賞。
しかし、ディスクに添付されてあった解説書
による先入観から鑑賞を左右された。
解説書には、父はフランコ将軍、母は国民、
叔母はフランコ亡き後の軍人、
アナはテロリストを象徴しているとの、当時
のスペインの状況を風刺した設定とあった。
そんな先入観を持ちながらの鑑賞ながらも、
主役のアナの怖いくらいに純粋で自己中心的
な子供らしい精神世界を上手く描いた作品
としての印象が強く残った。
アナの心の内面の表現として、
現在の場面に過去を重ね合わせて描く手法は、分かり難さも無く秀逸。
また、私の妻と母、妻と娘を見ていると、
女性同士の親子関係は
特別な絆を感じるが、
この映画でもそう確認させられるばかり。
解説のように、確かに制作者側の
歴史背景的な意図はあるのだろうが、
子供の成長期における精神的な特異性の観点
からだけでも、充分に魅力的な作品だった。
確かに事前情報が全く無いままでの鑑賞で
理解不足のまま終えるケースもあるが、
この作品では、
時代風刺の要素を排除した中での鑑賞して
いたらどんな印象に変わっていただろうか
と考えさせられる。
予備情報も善し悪しと
悩まされた作品だった。
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