「現代の感覚で見ても全く色褪せない」家庭 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
現代の感覚で見ても全く色褪せない
初長編「大人は判ってくれない」の主演ジャン=ピエール・レオーが大人になっていく過程に合わせて、一人の登場人物を主軸にした”ドワネル”モノを作り続けたトリュフォー。そのリアルとフィクションのせめぎ合いから生まれるナチュラルな作品構造は、後のリンクレイター監督作「6才のボクが、大人になるまで」などにも遺伝子的に受け継がれているとみていいだろう。シリーズ第四弾となる本作では主人公がついに”家庭”を築く。結婚して、子供が生まれ、仕事がうまくいかずに転職し、企業の庭先にあるジオラマ港湾でラジコン船の操縦を行うという何やらよくわからない職務に従事し、その上、日本人美女とのロマンスが繰り広げられ・・・バラエティに富んだ内容で、秀逸なセリフもさることながら、時間の切り取り方、構成、なんとも煮えきらないドワネルの人間性なども含めて今の感覚でも全く色褪せない。つい声を上げて笑ってしまう、見どころの多い一作だ。
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