「濁った大人の世界で生きていく二人」渇望 あまおとさんの映画レビュー(感想・評価)
濁った大人の世界で生きていく二人
クリックして本文を読む
イングマール・ベルイマン監督作品 1949/スウェーデン
『愛欲の港』に続く。テーマに共通性が。趣向や方向性は違うようだ。こちらは脚本がベルイマンでないからか。原作があるのは共通。こちらは、より大人っぽく濁った世界。結末もドロドロしている。
『渇望』…汽車の窓の下でドイツ人たちが腕を伸ばして食べ物を乞う場面と繋がってくる。ルート達はパンを投げてやるが、パン(=救い)が欲しいのはルートだろう。
エヴァの過去が悲惨だ。彼女は、自分の心も、体も、そして女としての未来も、一気に傷つけられてしまった。ルートは不安定でやけっぱちな彼女を支えてみたくても、その資格が自分にはないし、力不足で重荷。
エヴァの昔の仲間、ヴァルボルグは、夫を失くした後、失望し命を断ってしまう。ではエヴァらは? 彼らは何とか生きていくのだろう、苦しみながらも。
エヴァを不幸とみるか否か難しい。価値観的はかわる。でも、人間の微妙な難しい部分を丁寧に表現していて、深みが凄い。映像も個性的だった。
コメントする
