かくも長き不在のレビュー・感想・評価
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記憶喪失もの
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「セビリアの理髪師」の一節をくちずさむロベール・ランデと名乗る人物。確信は持てないが行方不明になった夫アルベールではないかと思うテレ―ズ。戦禍が残るパリの街で乞食同然の生活をして哀愁をひきずっている男と、何とか彼の記憶を取り戻そうとするテレ―ズの対比が戦争の悲惨さを伝えます。収容所に入れられて16年の月日が通り過ぎると、本人と判別がつかなくなるのであろうか・・・一人の男を変えてしまうほど戦争が悲惨であるということも感じる。
一番好きな場面は、親戚の二人とアルベールの過去をわざとらしく語り合うシーンだ。オペラはイマイチわからないので、二人で音楽を聴く場面には感動できなかった。残念。でも彼女の優しさは充分伝わります。そして、町中の人が彼の名前を呼ぶ「アルベール、止まれ!」の言葉に、収容所もしくは留置所でのつらい経験が彼に両手を挙げさせるのだ。記憶喪失のドラマ性以外にも戦争による不幸を如実に表現しているシーンだ。
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