「戦争と記憶と人間のつながり」かくも長き不在 FormosaMyuさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争と記憶と人間のつながり
戦争が終わって10年以上たってもその影響は人々に残っている、人生に大きな影響を与えたことが分かります。さて、本題は記憶です。自分の夫と思える外見の男を見つけるわけですが、その男は記憶喪失。それでも男の記憶を蘇らせようと女はあの手この手でアプローチします。男の味の嗜好や踊りがうまいことなど身体的な記憶は女の夫と合致します。しかし肝心の記憶(思い出)は戻りません。最後に男は戦争の記憶を取り戻すことを恐れているような様子が描かれます。それでもラストに女はどうにかして男の記憶を取り戻す決意を述べるのです。
かくも記憶を取り戻すことが大事なのです。たとえ身体が同一人物のものと確認されたとしてもこの女にとっては男の記憶が戻ってこなければ夫が戻ってくることにはならないわけです。この状況を考えるにはさらに時間の経過という要素もあると思います。仮に男が記憶喪失後の戦後すぐに女と再会していたならば、女は男の記憶がなくとも夫として男を受け入れられたのではないでしょうか。しかし、「かくも長き不在」の後、男と女は身体ではつながりを確認できず、記憶を頼ることになる。
例え記憶があったとしてもその内容が良いものでなければ、「かくも長き不在」の後、人間はつながりを失ってしまうのかもしれません。
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