「個人の尊厳」女だけの都 ouosouさんの映画レビュー(感想・評価)
個人の尊厳
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コスチューム・プレイか…と思って身構えたが、見てみると、人間が人間らしく生きる様をチャーミングに描いた怪作だった。市長だ助役だと威張っていられるのは、そこが閉じたコミュニティである限りなのである。当時の女性らしく、市長の妻がコミュニティにとらわれているのに対して、「娘にはベネチアを見せてあげたい、海を見せてあげたい」と望み、個人の意志を尊重した結婚をさせてあげる(市長は娘を自分の所有物として金で売ろうとするのだが、市長の妻もそんな感じで結婚したんだろうなと思わされる)。しかも外敵と思われたスペイン公爵とも尊厳を保った情交を結んでみせる。庶民の女性たちも、徹底して自分の感情欲望信念に即して動いてやる、ということで、ハラハラさせつつもうまく終わるところがとてもよかった。
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