「密告者の逃亡と懺悔を描く、力感溢れた演出と音楽の同一性」男の敵 グスタフさんの映画レビュー(感想・評価)
密告者の逃亡と懺悔を描く、力感溢れた演出と音楽の同一性
夜霧のダブリンの街中、ひとりの頑強な男が現れてから、翌朝の教会で懺悔を乞う一夜の逃亡劇をジョン・フォードが男性的なタッチで纏めた力作。更にマックス・スタイナーの音楽が重量感あるテンポの力強さで、フォードタッチの細かい描写ひとつ一つに整然と一致した表現力に圧倒されます。音楽の比重が高いトーキー初期の表現です。ヴィクター・マクラグレン演じる浅はかな主人公の色々と変化する不安な表情が、その効果で強烈に迫ってくる。
ラストはフォード監督らしい人道主義が美しく輝きます。精密に練られた映像と音楽の同一性に感服です。
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