王様と私のレビュー・感想・評価
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シャルウィダンスの原点
2024年6月16日
映画 #王様と私 (1956年)鑑賞
教育係としてシャム王の宮殿にやってきたイギリス人女性が、封建的で前時代的な王に文化と愛情をもたらしていく
名作を初めて見た
#ユル・ブリンナー のインパクトと #デボラ・カー の気品はいいし、#シャル・ウィ・ダンス を踊るシーンはやはり名場面
見た目よりもずっと深い話
午前十時の映画祭のシリーズで劇場鑑賞
王様とダンスを踊るシーンが余りにも有名になり過ぎて
単純に王様と英国女性の恋物語?と思ってる人も多いでしょうが、
実際は人種や男女差別、奴隷差別等の下敷きもあり
南北格差問題(アメリカでは無く、国際的な意味での)でもある。
欧米列強に取り込まないれように近代化を推し進めながらも、
昔ながらの伝統やプライドの狭間で揺れ動くシャム王の姿は
明治維新の頃の日本や、現在の発展途上国の姿にも通じます。
英国に侮らないようにと、英国大使を招いて西洋風の晩餐会を開き、
そこで宴会の出し物として演じられる、
「アンクルトムの小屋」の一部を元にしたタイ風舞踊劇!
これが、よく出来てます!
それ以前のアンナと子供達の授業の内容や
王様とアンナが議論したモーゼに引っ掛けた、
劇のクライマックスも秀逸。
映画終盤には現王と若き王位継承者との物語も展開されて、
イヤ〜、よく出来た脚本ですわ。
小難しい話にせず、これだけのモノを詰め込んで、
楽しいミュージカルに仕上げた全ての方々に拍手!です。
沢山の方に是非見て欲しいですね。
ラスト近くに「十二国記」の元ネタはこれか!
と思わず膝を叩きたくなるセリフも有りますよ(笑)
豪華なセットに衣裳、舞台そのままの感じ。 Shall we dan...
豪華なセットに衣裳、舞台そのままの感じ。
Shall we danceの曲と共に王様とアンナが踊るシーンは有名ですね。軽やかに踊る2人は素敵だった。
王様の威厳がある中にもコミカルな感じも可愛らしく、またそれがおもしろく観れました。
文化の違い
シャム王国、現在のタイ王国。彼らの世界地図では勢力誇るべき領土を持つがイギリスから持ってきた地図をみるととてもチッポケ。
モーゼ、リンカーン、象・・・絶対封建主義の偉大なる王に腹立たしくなるアンナ。だけど、西洋の知識はかなり持ってる王。「世界を6日で作った?ハ」とモーゼをバカにするところなんて面白いぞ。それでも英国がシャムを侵略するため“野蛮人”だのと書いていることに怒りを覚えるアンナであった。
ローズ ミチコ イセリ
今日見て気になったこと。
クレジットの中に日本人と思われる名前があった。
「Michiko」とだけ。
役割はOriental dance advisor
誰なんだろう?
公開時、これはほんとうにハリウッド一押しの映画だったはず。
トニー賞を取ったブロードウェイ・ミュージカル。しかもキャストはほぼそのままという。
シネマスコープ55による超大作として、鳴り物入りでつくられたに違いない。そこに日本女性が関わっていたとは…
もちろん、早川雪洲以来ハリウッドに関わった日本人の数は決して少なくないけれど
とても気になったのであちこちのサイトをひっくり返してみた。
30分足らずの間にわかったことは
彼女の名前はイセリ ローズ ミチコ
1923年日系移民の2世として、アリゾナで生まれた。
アリゾナ州への日系移民は1900年代から始まっている。
当初は銅鉱山や綿花の畑の労働者として使われ、後に独立して農地を開拓するようになり、徐々に成功を収めるようになっていったという。彼女もそういった移民の家庭に育ったのだろう。
ところが大恐慌時代を迎え、それが一転する。
仕事にあぶれた白人労働者が有色人種である日本人を排斥するようになり、土地の所有制限が行われる。
そのせいだろうか、彼女(とその一家)はカリフォルニアへと移っている。
そこでもやはり苦難が待っていた。第二次世界大戦中の日系人強制収容のあおりをくらい、彼女たちもまたワイオミング州のハート・マウンテン移住センター(という名の収容所)に収監されてしまう。
ところがそんな中でも彼女はダンスを教えていた。その当時の"Michiko Iseri dance class and Heart Mountain mandolin band"と題された写真が今もカリフォルニア大学に残っている。写真には着物姿を含めた女性が十数人映っているが、中央の、いっそうきらびやかに装った女性がおそらくはミチコと思われる。
20そこそこでありながら、十人以上のメンバーを率いて収容所の中、何を思って彼女は舞っていたのだろう。囚人のような扱いを受けながら、それでも踊っている間だけはその境遇を忘れていられたのだろうか。
そして1950年、『王様と私』はブロードウェイにかかる。舞台版も映画版も、振り付けはジェローム・ロビンスだから、おそらくミチコも舞台版から関わっていたのではないかと思う。
この作品は、いろいろな意味でレイシズムにあふれている。悲恋の末、恋人が死んでしまう妾のティプトムは、当初アフロアメリカンの女優が予定されていたが、それが "slave" の役柄だというので断られ、結果としてプエルトリカンのリタ・モレノに移ったという裏話しもあるくらいだ。
ミチコ本人もそういったレイシズムのために、多感な時期を収容所の中で過ごすことになったのだ。
彼女はこの脚本をどんな風に読んだのだろう。
彼女が振り付けに関わったシャム宮廷の女官たちの舞、
それは本来のタイの舞踊とは似ても似つかないもので「東洋はみな同じ」という欧米的な上から目線の下に作られている。
そして同時にこの映画は「女は従うものだ」という東洋的家父長制度に対するアンチテーゼも含んでいる。
東洋の女として、彼女はこれをどう解したのだろう。
ローズ ミチコ イセリは2011年7月29日、カリフォルニア州サクラメントで没した。享年88歳。
この人の目線でもう一度この映画を見直してみたい気になっている。
見た目よりもずっと深い話
王様とダンスを踊るシーンが余りにも有名になり過ぎて
単純に王様と英国女性の恋物語?と思ってる人も多いでしょうが、
実際は人種や男女差別、奴隷差別等の下敷きもあり
南北格差問題(アメリカでは無く、国際的な意味での)でもある。
欧米列強に取り込まないように近代化を推し進めながらも、
昔ながらの伝統やプライドの狭間で揺れ動くシャム王の姿は
明治維新の頃の日本や、現在の発展途上国の姿にも通じます。
英国に侮らないようにと、英国大使を招いて西洋風の晩餐会を開き、
そこで宴会の出し物として演じられる、
「アンクルトムの小屋」の一部を元にしたタイ風舞踊劇!
これが、よく出来てます!
それ以前のアンナと子供達の授業の内容や
王様とアンナが議論したモーゼに引っ掛けた、
劇のクライマックスも秀逸。
映画終盤には現王と若き王位継承者との物語も展開されて、
イヤ〜、よく出来た脚本ですわ。
小難しい話にせず、これだけのモノを詰め込んで、
楽しいミュージカルに仕上げた全ての方々に拍手!です。
沢山の方に是非見て欲しいですね。
ラスト近くに「十二国記」の元ネタはこれか!
と思わず膝を叩きたくなるセリフも有りますよ(笑)
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