アビスのレビュー・感想・評価
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設定も物語の詰めもまだ甘い
総合:55点
ストーリー: 35
キャスト: 70
演出: 70
ビジュアル: 75
音楽: 65
台風で海上施設のクレーンが壊れて、海中の施設が破壊されていくところの場面などは緊迫感があった。浸水が続いたり火災が発生したりして、どうやって生き残っていくのだろうかと緊張して見守った。施設のセットなどもそれなりによくできていて、キャメロン監督はそのようなアクション的な場面の良さは「ターミネーター」で既に実証済み。ここが一番の見せ場であったように思う。
だが施設の事故と軍隊との対立との話だけで十分だったのではないか。さんざん施設の事故と任務の部分に2時間以上を長々と使った後で、最後のほうで知的生命体との遭遇と人類の愚かさを考えるとか、ここでさらに必要だったのだろうか。焦点絞って事故と脱出のパニックものにするか、あるいは最初から知的生命体との出会いを中心にしたほうがわかりやすいのではないかと思った。
そしてこの生命体、これだけの力を持ちながら今までいったい何をしていたのだろう、なぜ今になって急に出てきたのか、核戦争も核実験も過去に既にあったのに、そのときは何もせずになぜ今回だけは300メートルの津波なのかとか、そのせいで少なくとも沖合にいた船は全部沈んだろうなとか、突っ込みどころに事欠かない。
設定もおかしい。潜水艦が沈んでいたのは深度600メートル。そんなところに救出に行けば水温も低いだろうし、映画の中で言っていた2-3度だと普通人間ならば一分も生きられないだろうし、何よりまず水圧に潰されるはず。深海魚じゃあるまいし、軍人たちを制圧するときにそこを平気で潜水器具もつけずに泳いでいるのがかなり不自然。器具をつけたとしても、数千メートル潜っていくなんてありえない。このあたりは無理がありすぎを通り越して馬鹿丸出し。
脚本はキャメロンが高校時代に書いた作品を基に書き直したものだそうだ。だが設定にしろ本筋にしろご都合主義の結末にしろ、やはり所詮は高校生が考える程度のものでしかないと感じた。脚本が悪すぎて作品を駄目にしているのがもったいない。
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