赤い薔薇ソースの伝説のレビュー・感想・評価
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ラテン文化のおおらかさとアバウトさ
公開時に見逃していて、ずっと気になっていたのですが、今回初めて劇場で観ることが出来ました。
メキシコのある旧家の年代記。「ゼロ・グラビティ」のエマニュエル・ルベツキによる美しいカメラ、洒落た衣装、そしてトルティーヤをはじめとするメキシコ料理の数々。
登場人物も旧習にこだわる母親、革命家闘士の長姉、心優しい医師などキャラがたっているひと達ばかりですこぶる面白い。
ただ、物語のテンポが早すぎて、感情移入をする暇がありませんでした。また作品のテーマも母子の確執、姉妹間のどろどろ、死者との交流、情熱的な愛と無償の愛などてんこ盛りで、全体としてやや散漫になった感があります。
料理人の気持ちがのっているかどうかで、味が変わってくる。料理は創造的な愛情表現であることがよく分かりました。隠し味で食べた人々の感情が揺さぶられる描写は、とても良かったです。
食べ方とセックスの仕方は比例する。
家の中でどこが好きかと言えば、キッチンです。
今はそんな余裕はないのですが、以前の私のストレス解消は、台所で何か捏ねるか、何か煮込むかでした。
あと、悩み事がある時は、お菓子を作るに限ります。
お菓子は、ちゃんと量って、温度や、時間を決められた通りにしないと、美味しくできません。そうやって、きっちり、きっちり、順序立てて行っていく内に、頭の中が整理されていくのです。
あと、男性が食べている姿を観察するのが好きです。とても、興味深いんです。
だって女性諸君!食べ方とセックスの仕方は、比例するとは思いませんか(当社比)!?
何の話?ここは映画・COMだよ?と思われた方、すみません!
これから映画の話をします!!
本作の主人公ティタも、一日の大半をキッチンで過ごします。その家のしきたりで、末っ子は一生結婚せず、母親の面倒と、家事をすることを強いられるのです。そんな非情な運命と引き替えに、彼女に与えられた料理の才能。しかし、その料理には不思議な力がありました。
舞台はメキシコです。
ティタとペドロは、愛し合っています。そこでペドロは、ティタの家へ結婚を申し込みに来るのです。でも、許されません。理不尽なしきたりのせいです。結局ペドロは、ティタの姉と結婚します。
ティタの料理の才能は、かなり変わっていました。
姉の為にウエディングケーキを作りながら、ティナは泣きます。その涙が一滴入ったケーキを食べたお客達は急に泣き出し、あまりの悲しみに堪えきれず嘔吐しまくります。
またティタは、ペトロから貰った薔薇の花で、鶉の薔薇ソース添えを作ります。それを食べた次女は(気分が)燃え上がり過ぎて、シャワー室が全焼。全裸の彼女が発する薔薇の匂いを嗅ぎ付けた兵士と、愛の逃避行。
ティタの抑圧された情念は料理に溶け込み、それを食べた人達の感情をコントロールするのです。ティタは台所に閉じこもりながらも、こうして料理で外界とコンタクトをとっているのです。
最終的にペドロとティタは、結ばれます。しかしその最中に、2人は炎に包まれる。そして最後に残るのは、そんな料理のレシピブックだけでしたとさ。
とっぴんぱらりのぷう。
官能的で、ファンタジック。こんなお話が、大好きです。
実は、映画の中に登場する料理を作るのが好きです。でも、本作の料理だけはまだ作っていません。
この映画を観るまで私は、料理は味わうものだと思っていました。でも「感じる」物でもあるのだと、気付かされました。まだまだだな、私。今の私の腕では、ティタのような料理は作れません。
いつか、シャワー室が燃えるような、料理を作りたいものです(笑)
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