ジュリエット あるいは夢の鍵のレビュー・感想・評価
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大人向けのメルヘン
後味が結構苦い。
貧乏な若者にとって世界は厳しい。その事実が、ロマンチックな夢物語が長々と描かれた後で急に突きつけられるので、余計に堪える気がする。素朴なようで吸引力の強い作品。
現実の世界ではとても現実的な彼女は、生活力のない夢見がちな若い男より金持ちのおっさんを結婚相手に選び、これでよかったとあっけらかんと言う。なんなら彼氏は愛人でということか。ショックを受けて彼女の元から走り去り、追いかけてくる彼女から身を隠した所にちょうど秘密めいた扉がある。もちろん開ける。
え、あの村じゃん!
たとえ、そこでは思い出を保つことができなくて、気持ち悪かったり、せんがなかったりするとしても、辛い思いをした者には良い所。
若者は忘却の村に喜んで戻って行きましたとさ。
めでたし、めでたし。
なのだろうか⁈
Gフィリップの演技力(ルンルンなスキップ含む)が物語にリアル感をもたらしていたし、素晴らしい映像や凝ったセット、お姫様ドレスは幻想感を盛り上げていた。
夢の中
彼の罪は店の金を盗んだこと。夢での恋愛劇から目が覚めた途端に簡易裁判所に呼び出される。店の主人ベランジェが不起訴にすると署名したのだ。それもジュリエットが嘆願し店長と結婚すると約束したため。早速、現実のジュリエットに会いにいくが、それは辛い別れを告げにいくことでもあった。
貧富の差。それも単純な構造のヒエラルキー。彼女を養うことなんてできないと罵るも、せっせと告訴取り下げするための署名をする主人。夢の中でしか幸せを得ることができない虚しさを十分伝えてくれた。
ラスト、立ち入り禁止のドアを開けると夢の中の世界が広がる・・・
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