「トンでも改変のようで割と原作通りに映画化!」奇談 キダン モアイさんの映画レビュー(感想・評価)
トンでも改変のようで割と原作通りに映画化!
つまり原作がそもそもトンでもない内容なのですが…
いやいや、東北の寒村を舞台に2000年以上の歴史を誇る聖書の物語の大胆なもう一つの可能性をシレっと描いてみせる。これこそが諸星大二郎の魅力なのです。
この映画の、布に液体が一滴づつ滲んでいくようなヒタヒタと広がる恐怖の一歩手前の感覚。その“えも言われぬ”雰囲気を維持したまま唐突に迎える、あの強烈なラストは、原作の雰囲気を見事に再現しています。
その再現度は前作の、と言っても原作が諸星大二郎の「妖怪ハンター」だという事以外に制作上の繋がりはたぶん何もないのですが、91年の「ヒルコ/妖怪ハンター」と比べるとかなりのものです。
今作の原作は妖怪ハンターの「生命の木」というエピソードです。
原作には登場しないキャラクターやエピソードが加味されていますが、それでも大筋はそのままです。もっと言えば原作はこれよりよっぽどアッサリしていますし、映画の中で幾つかあるドッキリポイントも原作にはありません!
しかも映画で加味された要素も、結局それ何だったんだよ?という具合に消化不良なのですが、別に大筋のお話を邪魔しませんし、雰囲気も壊していない奇跡のバランスです!
一番雰囲気を邪魔するのが稗田役の阿部寛の存在感なのですが、阿部寛がこの役をやっていること自体が何か面白いので許せてしまいます!
そして諸星大二郎作品の中にはこれをも凌ぐスケール感で描かれる作品もありますが、たとえそのスケールが太古の神話時代へ至ったとしても、はたまた遥か遠い宇宙の彼方へ至ったとしても、常に現代を生きる我々と繋がった、薄皮一枚隔てた所にその異質な世界は存在し、何かの拍子にソチラとコチラの世界が混ざりあってしまうような危うさをとても身近な事の様に感じさせる、そんな不思議な魅力があるのです。
正直「え?なにコレ?」となる人も多いと思いますし、思わず笑ってしまう人もいるかもしれません。それこそバカ映画と薄皮一枚隔てた危うい作品なのですが、それでも鑑賞後もなお「これは一体何だったのだろう?」という感覚が抜けないのであれば是非、諸星大二郎の漫画を手に取ってみてください。
ホラー系創作物の持つ、恐怖におののく感覚や人の業に感じ入る感覚とはまた別の感覚を抱かせてくれるのが諸星大二郎作品だと思います。
結局上手くその魅力を説明する事が出来ず不甲斐ないのですが、百聞は一見に如かずということで、先ずはこの映画をどう感じるか?是非一度試してみてください。
おはようございます。
共感ありがとうございます😊
この映画も諸星大二郎さん原作の映画化なのですか?
阿部寛が主演!!
「妖怪ハンター」は沢田研二でしたものね。
知りませんでした。
共感して頂いた作品の中で、「家族ゲーム」は忘れられません。
松田優作の家庭教師、強烈でしたね。
森田芳光監督の中でも一番好きです(そんなに観てないですけれど、
前に押して頂いた「39」とかホラーの「黒井家」
(ハル)も好きです。懐かしいです。早逝でしたね。