「いのちってなんだ」ヴィタール kzisymさんの映画レビュー(感想・評価)
いのちってなんだ
クリックして本文を読む
鉄男からずっと、フィジカルの物語を描いてきた塚本晋也。それは都市開発の暗喩だったり、マッチョで暴力的な欲望だったりしてきた。
バレットバレエで恐らく大きな転機を迎えた監督だ。若者群像らしき映画なのだけど、何か違う。妻を失った中年男と、チーマー集団の欲望と暴力の乱交。監督のトーキョーへの思いににケリをつけた作品じゃなかろうか、、、とぜんぜんヴィタールの話にならないのだが、フィジカル、マッチョ、エロス、それまで生の肉体のパワーが描いてきた塚本が、死について描いた恐らく初めての作品。それがヴィタールだ。解剖実習を通して死者と対話し、自らが再生していく物語。あらゆるところで、いのちが軽んじられる昨今、こういう映画こそ時代に必要だとおもう。
印象「泣ける」にもチェックしておいたが、誤解を招かぬように補足すると、一般的ないわゆる「涙の強盗」映画ではなく、しみじみと胸の奥でジーンとくるような映画。見終わった後も、1週間くらいその映画のことを考えてしまう。それが私にとってのベストムービー。
コメントする