「【つげ義春の「リアリズムの宿」を再後半でキッチリと描きつつ、顔見知り程度の男二人のクスクス笑えるロードムービーに仕立て上げた山下敦弘監督のセンスに驚いた可笑しみある作品。】」リアリズムの宿 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【つげ義春の「リアリズムの宿」を再後半でキッチリと描きつつ、顔見知り程度の男二人のクスクス笑えるロードムービーに仕立て上げた山下敦弘監督のセンスに驚いた可笑しみある作品。】
■駆け出しの脚本家・坪井(長塚圭史)と映画監督の木下(山本浩司)は顔見知り程度でしかないが、なりゆきでひなびた温泉街を一緒に訪問。
ふたりが海を眺めていると、若い女性(尾野真千子)が半裸で駆けてくる。「一切合財を波にさらわれた」という彼女を加え、ちぐはぐな旅を続けるが…。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・山下敦弘監督作品は、好きでほぼ観ているが、この初期作品は未鑑賞であった。だが、その後の「もらとりあむタマ子」や、「ぼくのおじさん」で、感じた緩い笑いが横溢している作品である。
・クスクス笑えるシーンは随所に描かれている。
川で魚を釣っていた二人の所に、外国人のおじさんが現れ、アマゴを強引に売りつけ、二人が宿に戻ったら、そのおじさんは宿の主人だったシーンなど、ナンセンスコメディともとれるオカシナシーンがテンポよく描かれている。
・海岸に居た二人の所に全裸の女性(尾野真千子)が突然、砂浜を走ってやって来るシーンや、その後彼女も一緒に温泉街に泊まり、彼女だけ突然バスで帰ってしまうシーンからの、ラスト女子高生の彼女と二人が出会うシーンなども、何か可笑しい。
ー 全然関係ないが、若き尾野真千子さんが登場したのは、嬉しい・・。-
<山下敦弘監督が得意とする、ワンテンポ遅れた独特の間が絶妙に可笑しい作品。「ハード・コア」以降新作を公開していないが、俄然新作を見たくなってしまったぞ。>
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