「【家族の平穏を守るために少年が用意周到に行った事。だが、それを切っ掛けに負の連鎖が回り始める。今作は、鮮烈なる哀しきラストシーンが印象に残る、現代の名優二宮和也氏降誕作である。】」青の炎 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【家族の平穏を守るために少年が用意周到に行った事。だが、それを切っ掛けに負の連鎖が回り始める。今作は、鮮烈なる哀しきラストシーンが印象に残る、現代の名優二宮和也氏降誕作である。】
■湘南の高校に通う17歳の秀一(二宮和也)は、母・友子(秋吉久美子)と妹・遥香(鈴木杏)の3人暮らし。
しかし、10年前に母が離婚した男・曾根(ナント、故山本寛斎)が現れ、その平和な生活は壊される。
傍若無人に振る舞い、飲んだくれ、母に手を出す曾根。
ついに妹にまで危険が及んだ時、秀一の怒りは頂点に達し、彼は完全犯罪を思いつく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・演劇界の世界的巨匠・蜷川幸雄が発掘したのは、藤原竜也だと思っていたが、二宮氏の主演映画を撮っていた事は知らなかった。
慧眼であろう。
・母が、離婚した男・曾根を再び家に入れた理由を知った秀一は、そのあまりの理不尽さに静に青い炎を燃やすのである。
ー 実の妹だと思っていた可愛がっていた遥香が、自分と血が繋がっていなかった事。そして、彼女が15歳になって実の父の曾根との縁を切る事を待って、母が受け入れた事。-
・だが、それに納得がいかない秀一は、曾根を殺害するためにトリックを使い彼を感電死させる。
ー 秀一が美術の時間に”外で描いてくる。”と言って、ロードレーサーで家に戻っていた事を知る同じ美術院の紀子(松浦亜弥)は、刑事に嘘を付くのである。
絵の具の渇き具合・・。
更に、学校に来ない問題児、川村が全てを観ていて、秀一を脅しに来る。-
■刑事(中村梅雀)は、飄々としながらも、全てを把握しているようだ。
それを知っている秀一。
<ラストシーンは切ない。秀一は、愛車のロードレーサー(自転車ではない。)を猛スピードで、トラック行き交う道を突っ走り、トラックに向かって行くのである。
そして、しばらくたった美術室で、涙を堪え乍ら絵に向かう紀子の姿。
今作は、今や邦画の中堅俳優の旗手、二宮和也氏の鮮烈なる映画デビュー作なのである。>