「観て損なし!」バンパイアハンターD(2001) Ashura5さんの映画レビュー(感想・評価)
観て損なし!
原作の菊地秀行氏は、アニメ化や実写化に対して後ろ向きな姿勢を見せていますが、川尻善昭氏は特別な扱いを受けています。
彼は『魔界都市<新宿>』と『バンパイアハンターD』というジュブナイル系看板作品を2本も監督している稀有な存在です(なお、私の記憶が正しければエイリアンシリーズは未だに映像化されていません)。
菊地秀行作品は個人的にはアダルト系(いわゆる伝奇バイオレンス系)にこそ真価が発揮されていると思いますが、ジュブナイル系にも多くの傑作があります。
本作は原作の魅力を余すところなく映像化した作品として記憶に残っています。
そして、どういう経緯かはわかりませんが、日本語吹き替え版が一週間限定で初(再?)上映されることになり、近所のシネコンでも上映されるということで、見逃せないと思い鑑賞しました。
2001年当時はレンタルビデオ(VHS!)で観た記憶があり、ストーリーもうろ覚えながら印象に残っていましたが、ストーリーや作画の品質の両面で現在の劇場上映に十分耐えうる内容でした。
初見の人には、ある種の衝撃を受けるほどの内容だと思います。
改めて当時の川尻善昭氏とマッドハウススタッフの力量を感じさせるとともに、多くの方が鬼籍に入られている声優陣の演技も相まって、良い作品は20年、30年前のものでも色褪せないという認識を再確認しました。
原作シリーズ未読の方は世界観や設定などに説明不足を感じるかもしれませんが、近所で公開している劇場があれば(一週間限定ですが)、観て損なしの良作だと思います。
最後に、前述の通り菊地秀行作品は傑作揃いですが、映像化が少ないのが残念です。
アダルト系は難しいとしても、ジュブナイル系のエイリアンシリーズやウエスタン武芸帳などは映像化向けに良い素材だと思いますので、原作者も考えを改め、どんどんアニメ化や実写化に門戸を開いてほしいですね。