「余計な部分が多く、必要な部分が少ない」リボルバー(1988) バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
余計な部分が多く、必要な部分が少ない
んー、ちょっと期待外れの出来。長らく観れなかったんで映画のあらすじを読んでしまったりして、ある程度知っていたが、佐藤正午の原作からだいぶ改変されている。大筋では原作と変わりないんだが、そもそも原作のだいぶ手前から話が始まっているのだ。原作のわずかな過去の描写や伝聞の出来事が大きくふくらまされ、さらには原作にないオリジナルのエピソードまで挿入されて、なかなか原作の話が始まらない。沢田研二演じる警官は原作では登場した時点ですでに退職した元警官で、手塚理美演じるスナックのママのところに転がり込んでいるし、見合いもしておらず当然ながら南條玲子演じる見合い相手は登場しない。また原作では間接的かつわずかにしか出てこない小林克也演じる拳銃強盗犯と彼が殺そうとした吉田美希演じる不倫相手の女のエピソードがほぼオリジナルの展開で長々と描かれ、だんだんと何見せられてるんだという感じになってくる。
結局、原作のプロローグに入るまでが30分、原作の本編に入るのは半分近くが過ぎた50分過ぎくらいから。そのため原作の本編部分は逆にやたら足早に進み、ずいぶんあっさりとした展開になってしまっている。ラストの展開も当然ながら原作とはだいぶ異なる。原作が映画的でないということなのかもしれないが、だったら映画化するなよなあ。ただ原作を読んでない人なら、単純に映画としてはまあまあ面白いのかもしれない。
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