もどり川のレビュー・感想・評価
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面白いなあ
心中ものなんで面白いとか言っちゃいけないが、ほんと面白いなあ。
大正時代が舞台。創作に行き詰まり心中未遂を繰返す歌人が主人公。彼が本当に愛していたのは誰か?なぜ彼は心中を繰返すのか?
原作はしっとりとトリッキーな短編小説だが、映画は大暴れの137分。
しっとりとした心中ものの筈が、叫び喚き、裸で踊り、ゴロゴロ転がり、何故か爆弾まで爆発して、思いもよらぬ方向に突き進む。
主人公ショーケンの大暴れが面白い。ダメな男をこれ以上無いくらいダメに演じて涙と笑いを誘う。ショーケン、この映画を撮り終わった後、大麻所持で逮捕されるが、映画の中の彼はもっと強めのクスリやってたんじゃないかと思わせる迫力。虚構の物語を、ショーケンの実像が追い越してしまった感じ。
女優陣も、脱いでない人の方が少ないくらいの体を張った熱演。樋口可南子もイイが、原田美枝子のタワワな胸は眼福。
監督は日活ロマンポルノの雄、神代辰巳。女の人の裸のシーンだけでなく、着衣のシーンも色っぽい。安っぽいテロンとした生地の着物がお尻のシルエットを際立たせ、それを嘗めるようなショット。
ショーケン&神代監督のコンビ作であれば『青春の蹉跌』などの方が評価が高いのだろうが、本作での、はっちゃけ感も個人的には捨て難い(あくまで個人的にですが)。
公開間際に、ショーケンが逮捕、制作の三協映画・梶原一騎も暴力沙汰で逮捕され、あまり日の目を見なかった本作。作品の出来からみても、日の目、見させなくて良かった、そっとしておこうという意見もあるかもなあ。
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原作は連城三紀彦。子どもの頃、何故か異常に好きだった。なので、この映画の改変ぶりには、むかっ腹を立ててた時期もあった。が、連城氏が「脚本の荒井晴彦氏は原作にない名場面を描くのが上手い」とお書きになっていて、うーん…そうかあ…と思った。
去年、連城氏がお亡くなりになった時の記事が「恋文、戻り川心中の〜」と映画化された作品が中心で、人の記憶に残るという意味では映画化されるというのも大事なことなのかもなあと思った。
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追記1:連城&荒井コンビの『誘惑』もそういえば面白かったなあ。
追記2:連城氏が褒めたせいではないと思うが、荒井晴彦さんの脚本は原作を改変したものが多い。『やわらかい生活』とかはちょっとやりすぎだったなあ。
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