「ひし美ゆり子」メス(1974) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ひし美ゆり子
かなりカルトな医療社会派映画。冒頭から三國連太郎演ずる医師が婚約者との濡れ場。そこへ妊娠させた女(ひろみどり)が訴えてくる。そして、彼女の帝王切開手術・・・赤ん坊の声、そして彼女は死んだ。説明はなされないが、主人公修三が私生児として生を受けた瞬間。
式根は東都大助教授を約束されていたが、いきなり反故にされ、新設大学教授の地位を約束された。これには菊川が絡んでいたが、彼には暗く秘めたる過去があった。まずは義理の息子を使って邪魔者を始末させ、自分も葛城病院に入院してくる。そして実の息子である式根に執刀を頼んだのだ。この時点では式根は実の父親だと気づいていない。
彼の同僚医師坂本(山本紀彦)の婚約者みどり(ひろみどり)が入院してきたが、彼女にはチンピラにレイプされ人工中絶した過去があったが、17歳ということもあり坂本には隠していた。そのため手術後には中絶経験のある女性特有の病巣に気づかず、術後に死亡。そのチンピラは式根の信頼する青木看護婦(夏純子)の弟だったという因縁。同じく同僚の佐藤看護婦(ひし美ゆり子)と付き合っていたが彼らも心中(?)により死亡。どうでもいいサブストーリーのような気もする(笑)。もひとつ、水野久美との関係なんてのもどうでもいい・・・
この映画の醍醐味は青木が菊川に復讐を誓っていた事実が明かされてからだ。菊川が駆け出しの医者の頃、精神病院を乗っ取り、何でもかんでも入院させたり、生体解剖やらロボトミー手術が平気で行われていたという、おぞましい記録。ぞっとするぞ。青木の父親もそこへ強制入院させられ生体解剖で殺されたのだ。菊川のオペはなんとか無事終了。パルスも消えたが直接心臓マッサージという荒業で回復させたのだ。しかし、数時間後には死亡。これには葛城院長(金田)が仕組んだものだった・・・複雑怪奇。そして、山崎弁護士(米倉斉加年)によって暴露、恐喝へと及ぶ。そして青木がロボトミー手術のピンチ!しかし緊迫感はない(笑)。
夏純子の目がいい!不良少女役が多かったことが活かされていたか?いいんだけど、余分なストーリーがどうしても邪魔。人間関係を把握するのも面倒だ・・・