「唇よ、熱く君を語り、舞い上がれ」宗方姉妹 青樹礼門さんの映画レビュー(感想・評価)
唇よ、熱く君を語り、舞い上がれ
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田中絹代
溝口健二作品、雨月物語、西鶴一代女での
従順、忍耐、建前、自己犠牲のイメージ
高峰秀子
成瀬巳喜男作品、あらくれ、放浪記にみる、
本音、自己主張、自己実現、つよい自我
このふたりが、
小津安二郎監督下で、ホームグラウンド松竹ではない新東宝でタッグマッチ
面白くないわけがない
松竹の社風でできなかったはず、
グラスを投げて割る、顔を打つ、
などなど激しい描写
あの土砂降り、そういえば、小津安二郎は大映で
浮草、京マチ子が強烈であった
小津安二郎は和の作家イメージがあったりするが
和洋折衷のモダニストである
わたしがはじめてみた作品は
生まれてはみたけれど、
あの自動車のエンジン音のすさまじい迫力、
大人の欺瞞を暴くような子どもという立ち位置
今作では高峰秀子のキャラクターになっている
唯一演技指導をしなかったらしい
これで最初で最後だったからか
山村聰、言葉が出てこないうつ状態は、暴力にでてしまう、不甲斐なき、哀れ。
上原謙、よるべなき自己愛、だれかに寄りかかっていなければ生きていけない。困っているおんなを狙うといういわゆる後家ごろし、色悪。
ラスト、雨上がり、土固まる。
清々しい旅立ちは、姉妹ともに
あたらしい明日へ。
東京ラブストーリーで、
鈴木保奈美が、あっちふらふらの織田裕二を好きでいながら、別れを決断したあのラストを思い出しました。
じぶんの心に支配されない生き方が爽やかでした。
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