劇場公開日 1950年8月8日

「主人公姉妹が最高に魅力的で見ごたえたっぷりの名作」宗方姉妹 Jettさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5主人公姉妹が最高に魅力的で見ごたえたっぷりの名作

2024年6月30日
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鑑賞方法:映画館

午前十時の映画祭14で本作初鑑賞

小津安二郎監督が松竹でなく新東宝で撮った1950年の作品、かの大傑作「東京物語」が生まれる3年前になります

主役の姉妹、田中絹代さん演じる姉の節子と高峰秀子さん演じる妹の満里子がとても魅力的で素晴らしい演技をされており、見ごたえ満点の作品です

姉の節子は失業してクサっているクズ旦那を見限らず尽くしているが、当の本人はそれに対し全く誠意もなく酷い仕打ちを重ねる日々
節子を演じる田中さん、清楚で凛とした佇まいがとても色っぽくて素敵な役者さんですね、そんな彼女が演じる節子のひたむき加減に心打たれました
逆に節子の夫を演じる山村聡さんの最高のクズっぷりもみごと、素晴らしかったです

そして妹の満里子は節子とは真逆のキャラクター、自分の意見を持ち、それをしっかり口にして他人に伝える事のできる女性、目に余る節子の夫の人でなし具合に常にフラストレーションを抱えるモダンでエネルギッシュな女性を高峰さんが伸び伸びと見事に演じきっていて本当に魅力的でした
上原謙さん演じる田代宏の前でふざける寸劇のくだりや何か言っちゃベロを出す仕草、そして義理の兄に感じるイライラをぶつけるのに物をてきとうに放り投げたりするちょっとした演技が何ともチャーミングで本当に観ていて楽しかったです

作品自体はずっと浸っていたくなる、いつもの小津調で落ち着いて観ていられる作風ですが、稀に節子が歩くのと並行し移動する非定点ショットや節子がクズ夫から何度もビンタされる衝撃のDVシーンもあり、これまで観てきた作品では無かった表現が新鮮で、これももまたいい意味で見ごたえのある作品でありました

Jett