本日休診のレビュー・感想・評価
全7件を表示
今はなき日本。失われた日本。
原作の小説を読んでから鑑賞。
もともと戦後が舞台の小説や映画が好きだ。その時代にしかない世相の面白さとどん底でしかなかった時代にそれでも生きようとした人々の心根が見えてくるから。
「本日休診」の舞台は蒲田にある産婦人科病院。
休診の札を上げても病人・妊婦はやってくるし、来る人はみんな貧しい。
それでも十数年たって出産代を払いにきたり、
自分も貧しいのに貧しい他人の面倒をみようとする。
医者は「お金がないなら治療代はあとでいいから」と言い、
病人は「それはだめです。払えないから退院します」と言い、
社会システムは完全ではないけど、
互いに気を配りあうことで何とかなった時代。
昔の流行歌を思い出した。
ボロは着てても心は錦――。
今はなき日本の概念。
本日休診出来ません‼️
人情物語
ゆっくり昼寝しようとしていたら、婆やの息子・勇作(三國連太郎)に例の発作が起こり一騒動。軍隊で受けた精神的病で通行人に乱暴しようとしていたのだ。今度こそはと思っていたら、今度は警官が一人の娘・悠子(角)を連れてくる。持ち物を奪われた上、暴行されたというのだ。その診察も進まぬうちに、18年前の初めての患者・湯川三千代(田村秋子)が18年前の医療費を持ってやってくる。さらに指を詰めたいから麻酔をかけてくれというヤクザの加吉(鶴田)や船頭のお産など、目まぐるしいほど忙しい休診日となってしまった。
貧乏人からは診療費はいつでもいいからと、赤ひげのような存在である大先生。悠子と湯川の息子・春三(佐田啓二)の恋物語になるかと思っていたら、ヤクザの加吉とお町(淡島千景)の悲恋のような感じだった。かなり純情な物語だろうとたかをくくっていたが、悠子はレイプされたわけだし、お町なんて金持ちの愛人になり流産するという展開。それでも暗い雰囲気はなく、飄々とした明るい先生やきちがいの勇作のおかげで笑わせてくれる人情物語。
しかし、ストーリーは詰め込み過ぎだし、ディテールの欠如といった、まだ戦後映画の黎明期といった印象が残る。
関心して悟らされる
本日爽快
全7件を表示