炎の肖像のレビュー・感想・評価
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沢田研二とは
ーーどこか身近で大衆的で、言うこと案外普通で、
声もセリフも調子外れで、意外と顔デカくて、
でも妙にマジメカッコよくて、少し不良で、
そしていつも色気がダダ漏れ‥
だからなのか、マジメな子もイイ女も
悪い女もつるむ野郎仲間も寄ってくる。
で、呼び名は’Julie’、「ジュリー」ですよ!
ベタベタの京都風純日本人なのに。
でもやっぱりカッコいい ーー
↑は私のただの思い込みですが、たぶんこの映画はそんな
“熱狂的に歌っててもニヤけてただつっ立ってても、
街角で演技しててもしてなくても”
ダダ滲み出てくる“ジュリー”の独特唯一無二の魅力をただ映そうとした「プロフィール映画」ではないかと思います。まぁストーリーとかセリフの意味・構成とか、殆どどうでも良い作りですので。そう言えば六、七十年代はこんな感じの映画多かったかなー。
その意味で七、八十年代の“時代的・芸術的日本映画”は、どんどん深すぎ・難解すぎ・頭でっかちすぎていき結局大して言いたい事が伝わってこなくてツマランという病的症状が悪化するばかりだった(素人の私見です悪しからず)ので、比して本作は展開がサッパリしていて良き。
加えて当時まだほぼ新人二十歳そこそこの秋吉久美子は、何であんなに可愛くて演技も自然で確固たる存在感なんだろう。美しい原田美枝子も強力脇役陣も“ジュリーのライブ風景”も次々出てきて出番も多くないのに、完全に物語パートのヒロインになっている。
そして今となっては、本作は1970年代のゲリラ撮影的な素の東京街頭や当時の普通の若者たちの空気感がどうだったか、その彼らの人気者だったジュリーのコンサートのどこが魅力的だったかがよく垣間見える、社会・人類学的にも貴重な映像集だと言える(気がする、分からんけど)。
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